販促チラシを打てば「売上がアップする」や「集客力がアップする」、「認知してもらえる」と思っているお店や企業も多いのではないでしょうか。しかし、それは大きな間違いです。「何を目的にチラシを打つのか」をきちんと理解せずに実施しても、その広告施策は失敗してしまいます。
この記事では、目的を明確にする必要性とよくある失敗を解説しています。また、目的設定を失敗しないために役立つフレームワークを紹介します。
1.目的を明確化する必要性とは
チラシによる広告施策を実施する上で大切なことは、「どのような効果を得たいのか」「どのような期待をしているのか」といった施策の目的を明確にすることです。例えば「売上を上げたい」といった、漠然とした目的だと漠然としたチラシになってしまい、効果を得ることは困難でしょう。目的の明確化により、効果が出るチラシ施策を実施するために不可欠な「誰に」「何を」伝えたいのかが自ずと決まってきます。
2.チラシ広告で目的を明確化するときのよくある3つの失敗
チラシ広告で目的設定をすることは理解していても、うまく設定できず結果的に効果があがらないケースが多いです。ここでは、チラシ広告で目的を明確化するときのよくある失敗を3つ紹介します。それぞれの想定されるリスクを紹介していきますので、目的設定を失敗しないためにぜひ参考にしてみてください。
▼目的を明確化するときのよくある3つの失敗
(1)複数の目的で設定してしまっている
(2)解釈の分かれる言葉で設定している
(3)そもそも整理していない、抜け漏れがある
複数の目的で設定してしまっている
1つ目のよくある失敗は、「複数の目的で設定してしまっている」ことです。例えば、飲食店チラシの場合は「新規オープン告知」と「スタッフ募集」、リフォームチラシの場合は「商品購入」と「無料相談会」、といったように2つ以上の目的を一つのチラシで設定してしまっているケースです。一つのチラシで「あれもこれも知ってほしい」と欲張ってしまうとチラシの内容が中途半端になってしまい、本来伝えたい情報が薄れてしまって狙っているターゲットに刺さりづらく、結果的にどの目的も達成が難しくなるからです。
解釈の分かれる言葉で設定している
2つ目は、「解釈の分かれる言葉で設定している」です。チラシを使って販促企画を立てるとき、販促チームのような複数の人が集まって企画することがほとんどです。曖昧な表現で目的設定してしまうと、チーム内の解釈に誤解が生じてしまい目指す方向性にブレが生じてしまいます。目的を達成するためには、チーム内で共通の認識をもち、正しく目的を共有することが大前提になります。以下は、目的設定をした「悪い例(抽象的)」「良い例(具体的)」の具体例です。
▼目的設定の具体例
悪い例:チラシを配布して集客する
良い例:お店のリニューアルに伴い、チラシにクーポンをつけてお得情報を盛り込み1日○○人の来客を目指す
そもそも整理していない、抜け漏れがある
最後の3つ目は、「そもそも整理していない、抜け漏れがある」です。中途半端な目的設定をして、しっかり整理できていない状態のまま「なんとなく」でスタートしてしまっていることです。これでは、せっかくチラシを作っても抜け漏れ(情報不足)が多く、思うような成果が出ません。以下はチラシ施策の中途半端な目的設定例です。
▼中途半端な目的設定例
・できるだけ多くの人に来客してもらいたい
3.目的設定をフレームワークで簡単に設定する方法
ここでは、目的設定をフレームワークで簡単に設定する方法を紹介します。今回は「SMAC」というフレームワークを使って目的設定をします。SMACというのは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Consistent(一貫性がある)の4つの頭文字をつなげた単語のことを言います。
SMACを使って考えることで、先述した「チラシ広告で目的を明確化するときのよくある3つの失敗」の原因を回避することができます。目的設定を失敗しないために非常に有効な道具なので、ぜひ活用してみてください。以下では、SMACとは何のかを解説していきます。
▼目的設定に役立つフレームワーク「SMAC」
(1)Specific(具体的)
(2)Measurable(測定可能)
(3)Achievable(達成可能)
(4)Consistent(一貫性がある)
(1)Specific (具体的)
Specificとは具体的ということです。目的が抽象的だと、それぞれ解釈が広がってしまうため、具体的にしておかなければなりません。おすすめは数値化しておくことです。数値化しておくことでチーム内に共通して認識にブレがなくなります。
(2)Measurable (測定可能)
Specific (具体的)で数値化してしまえば、必然的にMeasurable (測定可能)になります。また、測定結果を数値化するときに小数第何位まで表すのかもしっかり決めておくことが重要です。例えば、「%」で数値化していた場合、9.5%~9.9%は四捨五入して10.0%としていいかどうかなど。測定方法や単位を事前に決めておくことで、目的達成か未達成か無駄な議論を避けることができます。
(3)Achievable (達成可能)
Achievableとは、その目的が理想や願望ではなく、達成可能な内容かどうかということです。非現実的な内容で目的設定をしても意味がありません。一方で、簡単に目的を達成できるものだと意味がありませんので、努力や工夫によって達成できるレベルで設定しましょう。その結果、チーム内のモチベーションアップや成長に繋がっていきます。
(4)Consistent (一貫性がある)
最後に出てくるのがConsistent (一貫性がある)です。立てた目標が自社の理念や方針とズレていないかを確認しましょう。基本的には、ここで方向性がズレることはありませんが、自社の考え方を見ずに目的だけに固執してしまうと整合性が取れず目的達成が遠のく可能性があります。きちんと一貫性が保てるよう目的を設定しましょう。
以上、SMACを使った考え方を紹介しました。それでは実際に、チラシ広告を実施するときにSMACを活用して目的設定をした実例を業種別で紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
▼SMACのフレームワークを使った業種別目的設定の実例
業種 | 目的設定 |
---|---|
スポーツジム | 2023年2月までに、2022年2月対比110%となる会員数300人を達成する |
リフォーム | 9月のセミナー開催に伴い、8月までに参加者定員の80%を獲得する |
エステ | 6月~8月までに新規顧客50人、売上○○万円を獲得する |
4.目的を明確化した後ですべきこと
目的を明確化したら実際に販促の企画に役立てましょう。以下では、目的を明確化した後ですべきことを4つ挙げています。チラシの効果を高めるために重要なポイントなので、ぜひ参考にしてください。
伝えたい情報を絞る
まず、伝えたい情報を絞りましょう。チラシを使う目的には「商品購入してもらいたい」「集客につなげたい」「告知・PRしたい」など、さまざまです。目的の違いでターゲットも伝えるべき情報も変わってきます。伝えたい情報を絞り目的にマッチしたチラシにすることで、チラシの効果に大きく影響するでしょう。
伝わるデザインにする
チラシを伝わるデザインに作成することも重要です。最も伝えたい情報は、大きくはっきりと目立たせる必要があります。「あれもこれも知ってほしい」という理由でチラシを作成してしまうと、どれも中途半端になってしまい高い効果を得ることは難しいでしょう。目的に合った伝わるデザインを作成することでチラシの効果に大きく影響します。
目指すべきゴールをはっきり決める
目指すべきゴールもはっきり決めましょう。目的設定が曖昧だと目指す方向性にブレが生じてしまい、求めているゴールにたどり着くことは非常に困難になってしまいます。ゴールをはっきり決めれば、最適なルートを選択することができ、目的到達の近道になります。
配布計画を策定する
配布計画「誰に(求めるもの)」「どこに(配布エリア)」「何枚(配布部数)」「いつ(配布日程)」を決めることも効果を高める上で必要です。目的が明確になれば、自社のターゲットに向けて適切なチラシ配布することができて、効率よく高い効果を得られます。
5.まとめ
チラシは「誰に」「何を」伝えたいのかを明確にすることで、目的に合ったチラシを作ることができ、チラシの効果を高めることができるでしょう。さらに、フレームワークを活用すれば正しく目的設定することができるので、ぜひ有効活用してみてください。