チラシの失敗は広告費設定に問題あり!失敗する理由と回避策とは?

自社の商品やサービスを購入または利用してもらうために、むやみにチラシの広告費をかけても、かけたコスト分の効果が得られないと広告費が無駄になってしまいます。広告費の設定に不安やうまくいっていない感覚を持っている方も多いはずです。

この記事では、チラシの広告費の設定を失敗するとどうなるのか。また、広告費を決める際によくある失敗例や広告費を検討するときの失敗回避策を紹介します。

1.チラシ広告の費用設定の失敗により起こりうる影響

チラシの広告費をむやみに設定しても、期待する効果が出ず、結果的に本来目指している事業やプロジェクトの成功が難しくなってしまいます。以下では広告費の設定ミスによる起こりうる影響について説明します。

▼広告費の設定ミスによる起こりうる影響

(1)売上が上がっても利益が下がってしまう
(2)他の経費にしわ寄せが行ってしまう
(3)次の広告が打てなくなってしまう

(1)売上が上がっても利益が下がってしまう

広告費の設定が高すぎると売上が上がっても利益は下がってしまうことがあります。ターゲティングせず、チラシをばらまくような施策では、リーチする母数が増えるため一見売上を増やすことにつながりそうですが、無駄な広告費が増えてしまいます。以下はチラシ広告での売上と利益を比較した一例を記載しますので参考にしてください。

▼通信販売の広告費設定の一例

パターンA:広告費100万円で200万円売り上げた場合(原価25%)
売上200万円-原価50万円-広告費100万円=利益50万円

パターンB:広告費200万円で300万円売り上げた場合(原価25%)
売上300万円-原価75万円-広告費200万円=利益25万円

上記の例で分かることは、「パターンBの方が売上は大きかったが、利益はパターンAの方か良い」ということです。このように最大限の利益を確保するためには適正な広告費を設定する必要があります。

(2)他の経費にしわ寄せが行ってしまう

広告費の設定を誤ると、他の経費にも影響がでてしまいます。キャンペーンやイベントなどの経費は、チラシの制作費や印刷費用、配布費用の広告費のほか、ノベルティなどの販促費や人件費など多岐にわたる費用が発生します。限られた予算の中で広告費を多く設定してしまった場合は、他の経費を減らさねばなりません。

また、広告費の設定ミスにより想定していた来客数や売上などと差がでることにより、準備していた販促物や人員などが無駄になってしまう場合があります。例えば、100名の来客見込みで広告費を設定したが、実際には50名の集客しかない場合は、50名分の準備した経費が無駄になってしまいます。

(3)次の広告が打てなくなってしまう

広告費の設定ミスにより次の広告が打てなくなってしまうことがあります。チラシで宣伝をする際は、年間や半期など長期的な運用で考える必要があり、場当たり的にチラシ広告を実施していると、期待した効果が得られずに、次の広告予算の確保が難しくなってしまうからです。広告施策を継続的に行うためには、広告費と効果をセットで捉え、適切な判断をしましょう。

2.チラシ広告の費用設定が難しい理由2つ

チラシ広告で広告費設定をする際は、費用設定が難しい理由を理解しておくことも大切です。以下では広告費が変動する2つの要因について説明します。

▼広告費が変動する要因

(1)配布エリアによって価格は変動する
(2)チラシの印刷代は紙の種類によって異なる

(1)配布エリアによって価格は変動する

広告費を検討する際は、チラシの配布エリアによって配布費用が大幅に増える可能性があります。以下は静岡県中遠地区の新聞折込とポスティングのチラシ配布単価をまとめて比較しましたので参考にしてください。

▼静岡県中遠エリアの配布部数と配布単価(1部当り・税別)

地域新聞折込ポスティング
配布部数(部)A4チラシ
(円)
B4チラシ
(円)
配布部数
(部)
A4チラシ
(円)

B4チラシ(円)

菊川市10,1003.403.409,0209.009.00
掛川市26,7403.403.4025,9004.304.50
袋井市18,3503.403.4022,9699.009.00
磐田市39,4003.403.4035,4804.304.50

*静岡オリコミ調べ(2023年1月11日)

表から分かることは、ポスティングの場合は、配布地域によって配布単価に差があることです。同じサイズのチラシを配布しても、料金は地域によって倍以上変わります。ポスティングでは、世帯密集度が低い地域は、他の地域と比べ配布料金が割高になる傾向があります。また、難所地域といわれる配布ができない地域が存在し、配布期間も長くなりますので注意しましょう。

また、配布地域によって配布できる部数が変わり、広告費も変わってきます。

(2)チラシの印刷代は紙の種類によって異なる

チラシの印刷代は、用紙のサイズや種類、厚さなどの仕様によって印刷費用が大幅に変わる可能性があります。以下で、一般的なチラシサイズのA4とB4の印刷代をチラシのサイズと紙の厚さで比較をしたので参考にしてください。

▼チラシを両面カラーで印刷した場合の比較表(税別)

 紙サイズ・ 厚さ/枚数A4サイズB4サイズ
70㎏90㎏110㎏70㎏90Kg110㎏
10,000枚79,000円83,000円89,000円94,000円100,000円107,000円

*静岡オリコミ調べ(2023年1月11日)

表から分かることは、印刷代は、用紙サイズや厚さにより79,000円~107,000円と大きく変わることです。キャンペーンやイベントの告知内容によりチラシサイズや厚さなどを検討しましょう。

チラシでよく使われる用紙の質や厚さを紹介した記事「チラシ用紙の適切な選び方!紙質・厚さの種類別に解説」をご覧ください。

3.チラシ広告の費用設定においてよくある失敗例3つ

チラシ広告で費用設定の難しさを理解していても、うまく設定できず結果的に効果が上がらないケースがあります。ここでは、チラシ広告で広告費を決める際によくある失敗を3つ紹介します。どのようなケースが失敗してしまう原因なのか、費用設定を失敗しないために参考にしてみてください。

▼広告費を設定するときの失敗例

(1)「~だろう」という推測や思い込み
(2)チラシ広告の使い方が定まっていない
(3)チラシ広告の効果から広告費を検討していない

(1)「~だろう」という推測や思い込み

1つ目のよくある失敗は、「~だろう」という推測や思い込みで何となく広告費を設定してしまうことです。他の広告費からの勝手な推測や数年前と同じ金額だろうと思い込んで設定してしまうと、想定した広告費よりも実際の広告費が増えてしまうケースがあります。また、広告費と想定した効果にギャップがあるため、費用対効果を下げる結果となってしまいます。

(2)チラシ広告の使い方が定まっていない

2つ目のよくある失敗は、チラシ広告の使い方が定まっていないことです。チラシの使い方が決まらなければ、「どの媒体」で「どの位の量」の広告が必要なのか決まらないので適正な広告費を判断できません。例えば、本来は高齢者がターゲットであったにもかかわらず、媒体選定や配布エリアを具体的に決めずに広告費設定した場合、見込み客に届く確率が低くなってしまいます。

(3)チラシ広告の効果から広告費を検討していない

3つ目のよくある失敗は、チラシ広告の効果検証から広告費を決めていないことです。チラシの効果を把握できないと、必要以上に広告費を掛けすぎてしまったり、チラシ配布を1回で終わらせてしまったり、費用対効果を正しく測定することができず、次につながりません。例えば、チラシを配布したどの地域から何人来店があったのかを把握できていないと、見込みの低い地域に配布し続けることになってしまい、適正な広告費設定ができません。

4.チラシ広告の費用設定に失敗しないためのポイント3つ

チラシ広告の費用設定に失敗しないためのポイントがいくつかあります。適正な広告費用を設定することで、広告費の無駄を抑えることができます。ここでは、チラシ広告で費用設定を失敗しないための回避策を3つ紹介します。

▼広告費を検討するときの失敗回避策

(1)広告費の変化に注意する
(2)チラシ広告の目標を明確にし、具体的な施策から広告費を計算する
(3)配布会社を比較する

(1)広告費の変化に注意する

チラシ広告で費用設定する際は、過去の実績数値だけでは判断してはいけません。「~だろう」という何となくの判断では適正な広告費設定はできません。昨今、あらゆるものの価格が高騰し、今後も印刷代や配布料金も変わっていくと想定されます。同じ広告費で設定した場合は、想定する部数が配布できなくなることがあるので、値上げや仕様の変化などを配慮した広告費の設定が必要となります。最新の情報や業界動向については、印刷会社や配布会社などから情報収集をしてから、広告費を検討することで失敗を回避することができます。以下は広告費を比較した一例ですので、参考にしてください。

▼B4チラシ(両面カラー)、44,000部の広告費の比較

・2022年1月時点…広告費292,000円(印刷代142,400円、折込代149,600円)
・2022年8月時点…広告費309,600円(印刷代160,000円、折込代149,600円)

※静岡オリコミ調べ(2023年1月11日)

広告費の印刷代が、約半年の間に12%程度値上げになっています。広告費の検討時点での情報や動向を予測して広告費を設定する必要があります。

(2)チラシ広告の目標を明確にし、具体的な施策から広告費を計算する

チラシ広告で費用設定する際は、チラシ広告の目標を明確にしたうえで、チラシを「誰に」「どれくらい」「どうように届ける」のかなど具体的な施策を決めてから広告費を計算するすようにしましょうこれにより「チラシ広告の使い方が定まっていない」ことによる失敗を回避できます。また、具体的な施策を決めることで、広告費に対しての効果を判断しやすくなります。広告費は、やみくもに売上の〇%と決めるのではく、来店客数や売上、粗利などの目標を決め、具体的な広告施策から算出することで失敗を回避できます。以下で美容室の広告費の決め方の一例を記載しましたので参考にしてください。

▼美容室のチラシ広告の施策例

(1)目標設定…新規来店客20名獲得

(2)ターゲット…店舗最寄り駅中心に3㎞商圏に居住する20~30代独身女性

(3)広告施策…店舗最寄り駅中心3㎞で6万世帯の内、20~30代女性が多く居住する地域をメインにA4チラシを3万部、ポスティングで配布

(4)広告費設定…36万円(制作費5万円、印刷代12万円、配布料19万円)

チラシ広告の目標設定についての具体的な説明は、「目標設定が明確でないチラシは失敗必至!3つのステップで目標設定する方法を解説」の記事で詳しく解説しています。

また、チラシの配布計画を決める際は、Web上でターゲットや地域、予算、部数など設定できるポスティング・オリコミ・プランナー(POP)のサービスを活用することで配布部数や費用の目安が判断できます。

▼ポスティング・オリコミ・プランナー

*出典:ポスティング・オリコミ・プランナー(2023年1月11日)

(3)配布会社を比較する

チラシ広告で費用設定する際は、複数の配布会社を比較し、商材に合った配布会社を選ぶことで費用対効果を最大化できます。例えば、東京都内には多くのポスティング会社が存在し、それぞれの会社で、配布対応エリアや料金、スタッフなどがさまざまだからです。配布会社を決める際は、料金だけではなく、配布体制や管理体制、教育体制などについて確認をしてから、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

ポスティング会社選び方の記事は「東京都おすすめポスティング会社7選」で詳しく解説しています。

5.まとめ

チラシで宣伝をする際、広告費をどれくらい使うかは重要な経営判断のひとつです。広告費の設定を失敗すると、期待した効果を得ることが難しくなってしまいます。適切な広告費を設定し、限られた予算の中で収益の最大化を目指しましょう。

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