「チラシの目標設定ってそんなに細かくやらなきゃいけないの?」「目標を明確化しなくても商品・商材がよければ失敗しない」と考える方も多いのではないでしょうか。しかし目標設定を曖昧にしてしまうと必ず失敗します。
この記事では目標を明確化する必要性とよくある失敗の背景をご紹介していきます。さらに失敗しないための目標設定方法をご紹介していきます
1.目標を明確化する必要性とは
目標を明確化する必要性とは簡単に言えば目的を効率良く達成するため、つまりやるべきことを明確にし、それに対する費用や時間を計算し思考を前向きにするためです。目標が明確化されていないと、最終ゴールが不透明で何をどうやってどのくらいやって良いかわからなくなってしまいます。以下では目標を明確化することによって得られるメリット解説していきます。
PDSサイクルを回すことができる
1つ目はPDSサイクルを回すことで最適化に向けての改善ができることです。PDSサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、See(評価、見直し)で業務管理を行うことです。チラシ広告でより成果を出すためには、「どのような過程で業務を回せば効率が良いか」などを検討し改善することが必要なため、サイクルを回すプロセスが不可欠となります。ポスティングにおいて、目標が曖昧だと改善すべき点がわからないままになり、より良い成果が望めなくなってしまいます。
コストと時間の算出ができる
2つ目はコストと時間の算出ができることです。最終ゴールの数値から折込チラシやポスティングチラシの反響率を基に逆算し、コスト・かかる時間が算出できるようになります。これにより利益額が計算でき、配布日や配布期間も決定できるので事業計画をより詳細なものにするためには必要不可欠です。
モチベーションアップにつながる
3つ目は従業員のモチベーションアップにつながることです。成果を出すためのプロセスとしてモチベーションアップは仕事の熱意や完成度に関わるため必要不可欠です。ゴール、つまり目標が明確化されていると一人ひとりに対して求められるミッションも明確化されます。そうすることで仕事のやりがいや意欲を与えてモチベーションアップにつなげられます。
2.チラシ広告で目標を明確化するときの失敗例3選
チラシ広告を実施するとき、せっかく目標設定をしてもただそれなりの利益や成果が見込めそうな数字で曖昧にしてしまうと最大の成果は望めません。そんな失敗を避けるために、ここではそれぞれのマイナス要素や失敗が起こりがちな背景を紹介します。失敗を回避するためにぜひ参考にしてください。下記は失敗例3選になります。
▼目標を明確化するときの失敗例3選
(1)目的が定まっていない
(2)目標の設定数字が非現実的である
(3)合意形成がない
(1)目的が定まっていない
最初の失敗例は目的が定まっていないことです。目的が定まっていないとすべての顧客層にすべての情報を伝えたいなどと欲張ってしまい結局目標も曖昧になってしまいます。
下記は曖昧な目的例です。
▼曖昧な目的例
・お客様の増加
・売上の増加
・多くの人に買ってもらう
このような目的設定だと具体的な目標数字が決まりません。それを避けるために「新規顧客の獲得・リピート率アップ・購買率の向上」など目的を定めることで「新規顧客を100人獲得・リピート率を10%アップ・購買率20%アップ」など、より具体的に目標設定ができるようになります。
※目的の明確化について知りたい方は、「目的が明確でないチラシは絶対に失敗する!失敗回避策をSMACで解説」の記事を参照ください。
(2)目標の設定数字が非現実的である
次の失敗例は目標の設定数字が異常に高いなど非現実的であることです。目標数字が高すぎても低すぎてもモチベーションが下がってしまい、結果的に目標達成しづらくなってしまいます。高く設定してしまう背景としては、「目標はとにかく高く設定しておけば結果も高い水準までもっていける」と考えてしまうからです。しかし実際には途中から目標と実績に差がひらきすぎてしまい「どうせ達成できない」などネガティブな思考になってしまいます。できるかできないかギリギリのところに設定することで、人は高いモチベーションを保つことができます。以下は、目標の高低におけるモチベーションの推移と思考を表に表したものです。
(3)合意形成がない
最後は仲間や関係者と合意形成がないことです。合意形成とは簡単に言えば、同じ仕事に携わるメンバーや関係者、仲間と意思疎通を図り意見を一致させることです。この合意形成がないと方向性が食い違ったり目的が共有できていなかったりして、目標が明確化できなくなってしまいます。自分の考えが正しいから、指示さえすればいいからといった考えで合意形成を行わないと衝突や不信感が生じやすくなりモチベーションの低下にもつながって目標を達成しづらくなってしまいます。
3.チラシの目標設定を失敗しない方法
チラシの目標設定を失敗しないためには必要な要素があります。ここで紹介する要素を踏まえて目標設定をすればゴール(目的の達成)に向かって最短で進むことができるでしょう。目標設定を失敗しないために必要な要素を下記にてご紹介します。
目標設定に必要な5つの要素
ここでは目標設定に必要な5つの要素をそれぞれの頭文字を取った「SMART」を使ったフレームワークにてご紹介します。
▼フレームワーク「SMART」
・Specific:誰でもわかりやすい具体的な表現であること
・Measurable:達成度合いを自分以外にも判断できるように定量化して表すこと
・Agreed-upon:利害関係者全員が合意していること
・Realistic:達成が現実的な目標であること
・Time-bound:具体的な期限を設定すること
このフレームワークを使用すれば、具体的で効果が得やすくなり、社員のモチベーションも高めることができる目標を設定できるでしょう。目標を設定する際には、一つひとつの項目にしっかり当てはまっているか確認しましょう。これらを怠るとただの願望や夢となってしまい、目標を達成できる確率が低くなってしまうのでぜひ活用してください。
目標設定の3つのステップ
目標設定は、ただ当てずっぽうに数値を決めるだけでは意味がなく、目的に対してどうアプローチするかを決めてから目標を決めるというプロセスを踏むことが重要です。ここでは上記のフレームワーク「SMART」を踏まえたうえで、目標設定をする際の3つのステップを順番にご紹介していきます。
▼目標設定の3つのステップ
(1)現状の把握をする
(2)目標のカテゴリを決める
(3)目標数値の決定
チラシ広告を実施する目的を適切に設定した後、以降でご紹介する3つのステップを実行すれば目標設定も失敗せずに行うことができます。
(1)現状の把握をする
1つ目はまず自社の現状を把握することです。事業規模や売上・競合店の影響度などを数値化し分析します。社内の業績や事業計画といった内的環境と、競合店・出展立地などの外的環境を併せて分析することで「何が足りないのか、どこを改善するべきか、最善の策は何か」などを絞り込むことができます。
(2)目標のカテゴリを決める
次のステップは目標のカテゴリを具体的に決めることです。販促におけるカテゴリとは基本的に「新規顧客獲得」「リピート率アップ」「顧客の購買率アップ」の3つになります。
商圏を拡大して顧客数を増やしたい場合は「新規顧客獲得」、お客さんはたくさんくるが初見の方ばかりの場合は「リピート率アップ」、顧客は多いが買ってくれる率が悪い場合は「顧客の購買率アップ」といったように決めましょう。どのカテゴリに目標を定めるか決め、「どのターゲットに対して販売するか」「どんな販促をすればリピート率アップや購買率アップにつながるか」など明確にして計画を組み立てます。
(3)目標数値を決める
最後に目標数値を決めることです。どのくらい利益が生まれるか、利益率はどのくらいかなどの比較で具体的に数値を決めます。ここで紹介するLTV(ライフタイムバリュー)と呼ばれる顧客生涯価値やROI(リターンオンインベストメント)と呼ばれる投資利益率などで数値化し適正な目標数値を決めていきましょう。
LTVとは顧客との取引が始まってから終了するまでの期間で得られる利益を示した指標のことです。こちらは「顧客獲得コストを決める目安」「顧客単価・平均購買単価向上施策の予算を決める目安」「購買頻度や顧客維持率を上げる施策の予算を決める目安」などで活用できます。
▼LTVの計算式
以下はLTVを算出した具体例になります。
▼化粧品の販促における具体例
20代女性の場合
LTV36,000円=平均顧客単価2,000円×収益率50%×購買頻度12回/年×継続3年
50代女性の場合
LTV8,000円=平均顧客単価4,000円×収益率50%×購買頻度4回/年×継続1年
上記の具体例でわかることは、「50代女性のほうが顧客単価は高いが生涯で使う金額は少ない」ということです。これにより20代女性の顧客獲得にはある程度コストをかけて良いが50代女性の獲得にはコストをかけてはいけないということがわかります。そしてこのように数値化することで顧客獲得コストの設定やアプローチする年代別での予算を決める目安にすることができます。
ROIとはその投資でどれだけ利益を上げたのかを知ることのできる指標のことです。こちらは「販促ツールの比較」「実施した施策の効果検証」などに活用できます。ROIが高いほど収益性が高く、その投資が良いものと判断できます。
▼ROIの計算式
以下はROIを算出した具体例になります。
▼リフォームの販促における具体例
パターンA:折込広告の場合
125%=(売上100万円-売上原価10万円-宣伝費40万円)÷宣伝費40万円×100%
パターンB:ポスティングの場合
50%=(売上200万円-売上原価20万円-宣伝費120万円)÷宣伝費120万円×100%
上記の具体例でわかることは、「パターンBのほうが利益額は大きかったが、費用対効果はパターンAのほうが良い」ということです。このように数値化することで販促ツールの比較や前月比、投資額の見直しが可能となり具体的な数値目標が設定できます。
4.まとめ
せっかく事業や企画を実践しても目標設定を怠れば失敗につながります。この記事で紹介したような失敗をしないためにも目標を明確化する必要性を理解し、ご紹介したフレームワークを活用して明確な目標設定をしましょう。