チラシ広告を実施される方の中には、特にデザインを学んだことがなくても、自分でチラシをデザインされる方もいらっしゃると思います。プロにはかなわなくても、せっかくならおしゃれなチラシを作りたいですよね。おしゃれなチラシを作る第一歩は、どういうチラシが「おしゃれ」になるかを理屈で理解し、具体例をたくさん見ることです。
この記事では「おしゃれ」なチラシを作るコツについて解説し、そのあと業種別・テイスト別のおしゃれなチラシデザイン例を紹介してゆきます。
1.チラシデザインをおしゃれにするコツ
チラシデザインをおしゃれにするコツは、以下の4つです。
2)情報量を削り、シンプルにする
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
事業者が自分でチラシを作る場合、プロのデザイナーの作るチラシのレベルに達することは中々難しいですが、「70点以上」のレベルのチラシデザインであれば、コツをつかめば作れるようになります。事業主の「思い」がダイレクトに入る分、プロの作るチラシとは違った味が出るチラシが作られるかもしれません。それぞれコツについて詳しく解説してゆきます。
1)ビジュアル中心で、読ませるのではなく見させるチラシにする
チラシデザインをおしゃれにするコツ1は、ビジュアル中心で、読ませるのではなく見させるチラシにすることです。そもそも「おしゃれ」というのは右脳的な感覚で、左脳的な「読む」という活動より右脳的な「見る」という活動が先立つチラシにしないと「おしゃれ」と感じてもらえません。おしゃれなチラシを作るには、先にこのビジュアルを中心にしよう!と決めてしまい、そのあと必要な要素を配置していくことをおすすめします。
2)情報量を削り、シンプルにする
チラシデザインをおしゃれにするコツ2は、情報量を削り、シンプルにすることです。事業者からすると、できるだけたくさんの情報を詰め込みたくなりますが、情報が増えるほど右脳的に「おしゃれだ」と思うより、左脳的に自分に関係ある情報を探そう、と読み手が思うチラシになってしまいます。おしゃれなチラシを作るには、「これだけ伝わればいい」と割り切って情報量を削ることをおすすめします。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
チラシデザインをおしゃれにするコツ3は、レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らすことです。レイアウトの基本を守れば、人間の目線の自然な動きに沿ったデザインができるので頭を使って理解するチラシではなく直感的に見てわかるチラシにすることができます。また、全体にも統一感が出て、おしゃれだと感じてもらいやすいチラシが出来上がります。おしゃれなチラシを作るには、レイアウトの基本について知り、そのルールに沿ったチラシを作ることをおすすめします。
レイアウトの基本については以下の記事でも解説しているのでぜひ参考にされてみてください。
「チラシレイアウトの基本|見やすくする7つのコツ&テンプレサイトも」
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
チラシデザインをおしゃれにするコツ4は色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一することです。おしゃれなチラシを作るには、チラシ全体がまるで一枚の絵であるように見える必要があります。使っている色合いやフォントが多くなりすぎるとごちゃごちゃした印象を与えおしゃれには見えなくなってしまいます。おしゃれなチラシを作るには、この色合いとフォントに統一しよう、と決めて世界観を作りこんでいくことをおすすめします。
2.おしゃれなチラシデザイン例・テンプレート|見本+解説付き
ここでは、おしゃれなチラシの定義やコツに則ったチラシデザイン見本を解説とともに掲載します。取り上げる業種は、エステ・美容室・カフェ・物販(花屋)の4つです。
ちなみに、掲載しているチラシデザインは全てパワーポイントを使って作ったものです。プロのデザイナーによるものではなく、事業者が作っています。プロのデザイナーでない方が自分でチラシを作りたい!と思ったときに参考になると思います。パワーポイントデータとaiデータでダウンロードできるので、ぜひ自社のチラシ作りに活用ください。(フリー素材サイトからダウンロードした画像を使っています。サイト規約に基づき本テンプレート自体やこれらを加工したデザインの販売行為を禁じます。)
1)エステのおしゃれなチラシデザイン例
20代後半くらいの美容に興味がある女性をターゲットにしています。エステを受けている女性の柔らかな画像のイメージに合わせて、薄めのピンクの背景色を選びました。ピンク色とエメラルド系の緑色のデザインで、かわいらしい世界観を作っています。黄色い線で、白い円の中に大事な情報をまとめ明快なレイアウトにしています。
▼このチラシのポイント
⇒「エステの広告」であることが一目でわかるビジュアルを選びました。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒「新規開店であること」「場所と連絡先」「値段」の3つだけ伝わればいいと考え情報をできるだけ削りました。3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒黄色いラインが目線の動きをガイドし、パッと見で内容がわかる構成にしています。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒ピンク・エメラルドグリーン・黄色のカラーリングを最初に決め、ポップでかわいらしい世界観を作りました。
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2)美容室のおしゃれなチラシデザイン例
30歳前後の女性をターゲットにしたデザインにしています。落ち着いたトーンの配色を選びながら、若めのモデルを使い世界観とターゲット像を伝えています。
▼このチラシのポイント
⇒髪の躍動感を表現しているモデルを中心にチラシを作りこんでいきました。濃いグレーと薄いグレーを重ねた2枚の背景を、はねた髪の奥に配置することで、立体感をだして躍動感を強調しています。モデルの目線の先にキャッチを置くことでターゲット像を伝えています。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒「新規開店であること」「場所と連絡先」「値段」の3つだけ伝わればいいと考え情報をできるだけ削りました。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒Z字の目線の動きを意識したレイアウトにしています。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒モデルの写真は若めでありながら、大人っぽいイメージを出すためブルー・グレー中心の落ち着いた色合いを意識しています。落ち着いた雰囲気を出すため、キャッチフレーズを下に配置して、デザインの重心が下にあるレイアウトを作っています。
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3)カフェのおしゃれなチラシデザイン例
近隣に住んでいる方が興味を持ってもらえるよう、おいしそうなカフェオレと地図に焦点を当てたチラシを作りました。全体を長方形で分割する「グリッド・レイアウト」といわれるレイアウトを活用したデザインになっています。
▼このチラシのポイント
⇒「カフェオレ」のビジュアルと「地図」に目が行くようなデザインにしています。キャッチフレーズも大胆に配置し、文字情報というよりか視覚的に訴えるようにしています。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒「新規開店であること」「場所と連絡先」「飲み物がおいしそう」の3ポイントだけ伝わればいいと考え情報をできるだけ削りました。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒「グリッド・レイアウト」と呼ばれるレイアウトを活用してパット見で分かるレイアウトを作りました。横の6分割と、縦の中心線で6×2分割を作って配置しています。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒カフェオレの色に寄せた色を背景色に使っています。細身のフォントに統一し、シャープなイメージに世界観を統一しています。
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4)物販(花屋)のおしゃれなチラシデザイン例
売り物の魅力(今回の場合は花)が伝わるチラシを作るため、キャッチフレーズも写真も製品に焦点を当てたものにしています。
▼このチラシのポイント
⇒薄めのピンク色のバラを大胆に使ったチラシになっています。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒「新規開店であること」「場所と連絡先」「商品の魅力と値段」の3つだけ伝わればいいと考え情報をできるだけ削りました。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒まっすぐ上から下へのシンプルなレイアウトになっています。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒薄めのピンク色のバラの清廉なイメージを伝えるため背景もすっきりした白色にしています。
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3.テイスト別のチラシデザイン例・テンプレート4つ
最後に、「インパクトがある」「シンプル」「モノクロ」「手書き」の4つのテイスト別にチラシのテンプレートやポイントを解説します。
1)インパクトがあるデザイン
当社グループ企業である江﨑新聞店のシェアオフィスを題材にしたチラシです。「インパクトを出したい」ときによく使われる手法である画像を逆にするデザインを採用しました。
▼このチラシのポイント
⇒逆さの画像を使うことでインパクトを出すと同時に、笑顔のモデルの写真とちぐはぐなキャッチフレーズを使うことで「本音」を伝えている感が出るデザインにしました。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒キャッチフレーズのほかに、「値段」「立地」「場所」が伝わればよいという考えで情報量を削りこんでいます。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒「上から下へ」のわかりやすいレイアウトになっています。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒黒と青がベースになっているシェアオフィスの建物のカラーリングをチラシにも反映し、黒字のチラシにしています。強調したい部分は写真と色合いをそろえ白ベースにしました。
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2)シンプルなデザイン
“FAST”という架空のフードデリバリーアプリの宣伝チラシです。シンプルなイメージにすることで便益である“早さ”が伝わるようにしています。
▼このチラシのポイント
⇒アイコンとキャッチフレーズを連動させて視覚的に訴えるチラシにしています。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒キャッチフレーズとクーポン情報だけ、興味を持ってもらった人はQRに誘導するというかなりシンプルな構成にしています。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒左寄せでアイコンを配置し上から下へ、左から右に目を映らせるレイアウトを作っています。右下のQRへ自然に誘導する流れになっています。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒白黒のシンプルなアイコンとキャッチだけ、という簡潔な世界感を表現し、“早い”という便益が伝わりやすいようにしています。
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3)モノクロのデザイン
POPIN’HOUSE mayn’tという架空のハウスメンテナンス会社の求人広告チラシを作りました。モノクロ写真を中心にしたつくりで、シンプルながら印象的な作りにしています。モデルのイメージが白黒になることによって際立っています。
▼このチラシのポイント
⇒モデルの写真を中心にして、仕事を通じて輝く(SHINE)様子を表現しています。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒「職種」「給与」「社名」「担当連絡先」にしぼり、詳細はHPに譲る構成です。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒キャッチフレーズ以外の情報は右寄せで、上下に読むと内容がすっと入るレイアウトです。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒白黒で色を統一することで自然に世界観が統一されています。フォントもYu gothicしか使っていません。
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4)手書きのデザイン
「冷やし中華始めました」というよくあるフレーズを逆手にとって、「冷やし中華がもう食べられなくなるぞ!」と煽るようなチラシを作りました。小規模な街の中華料理店をイメージしているので、地図と連絡先しか載せていません。手書き文字に見えるチラシではありますが、実際には「美人の字」というフリーフォントを使っています。
▼このチラシのポイント
⇒手書きで味のある冷やし中華の絵を中心に載せています。
2)情報量を削り、シンプルにする
⇒キャッチフレーズ自体もシンプルで、「場所」「値段」「期間」に情報を絞っています。
3)レイアウトの基本を守り、頭を使って理解する負担を減らす
⇒「シンメトリー・レイアウト」の基本に則り、左右対称ですっきりまとめたチラシになっています。
4)色合いやフォントがちぐはぐしないようにし、世界観を統一する
⇒手書きのデザインで統一しており、フォントは「美人の字」の1種類しか使っていません。
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4.まとめ
この記事では、おしゃれなチラシをデザインしたい事業者の方、ノンデザイナーの方向けにおしゃれなチラシを作るコツと、業種別やテイスト別のチラシデザイン例やテンプレートを紹介しました。おしゃれなチラシを作るには、デザイナーの方に委託するのが一番です。しかし、ここでお伝えしたようなコツを踏まえて作成すれば初心者の方でもある程度のレベルのものは作ることができます。ぜひ、今回の記事を参考に実際に手を動かしてみることをおすすめします。