チラシのタイトルを工夫して広告効果を高めたいと考えていても、具体的にどんなタイトルにすれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか?
この記事では、チラシのタイトルの基本的な作り方をご紹介します。また、タイトル文を作るコツやタイトルを目立たせるポイントも、例文を交えながら具体的に解説します。
1.チラシタイトルの基本的な作業手順
チラシを作成する上で大切なポイントは、チラシを作る側からではなく読む側の視点でチラシの見せ方を考えることです。そこで、読む側の視点に立ったタイトルの基本的な手順を説明しています。手順通りに考え、読み手の目に留まるタイトルを作成しましょう。
▼チラシタイトルの基本的な手順
・ターゲットが解決したい悩みを想像する
・伝えたい「メリット」を整理する
・「メリット」の根拠を整理する
・一読で理解できるタイトル文を考える
・デザインを工夫してタイトルを目立たせる
ちなみに、チラシのタイトルとキャッチコピーは混同されがちなので、この記事での扱い方の違いに触れておきます。読み手がチラシを見て、一目で何のチラシなのかが分かる目的で示したのがタイトルで、読み手の注意を引くことを目的として示したのがキャッチコピーです。ただし、キャッチコピーがタイトルを兼ねることもあります。
チラシのターゲットや目的を明確にする
チラシのタイトルを考えるときは、チラシを見てもらいたいターゲットと目的をはっきりさせることが重要です。「誰に」「何を」知らせたいのかを明確にしましょう。ターゲットはより具体的に絞ることで、読み手の心に刺さるタイトルやチラシデザインの方向性が決めやすくなり、一貫性のあるチラシを作成することができます。
以下では、住宅会社や学習塾、美容院、リフォーム会社のターゲットと目的の具体例を挙げています。実際に考えるときの参考にしてみましょう。
▼ターゲットと目的の具体例
ターゲット:夫婦と6歳未満の子どもから成る世帯
目的:子どもの健康に気遣う夫婦に、自然素材で建てた家の魅力を伝えるオープンハウスに来場してもらうため。また、同時に開催する専門家の無料相談を利用してもらうため。■学習塾
ターゲット:世帯収入が高く教育支出が多い世帯
目的:成績が伸び悩んでいる、偏差値が上がらない、不得意科目がある子どもを持つ親に、個別の無料相談会に参加してもらうため。
■美容院
ターゲット:美容の支出が多い20~40代の女性
目的:一度も来店したことがない人に、トリートメントサービスキャンペーンをきっかけに店を利用してもらうため。
■リフォーム会社
ターゲット:居住期間20年以上の持ち家世帯
目的:週末のリフォーム相談会に参加してもらうため。
ターゲットが解決したい悩みを想像する
ターゲットに刺さるチラシのタイトルを作るためには、あらかじめターゲットが「困っていること」「悩んでいること」を想像しておく必要があります。この工程を飛ばすと、チラシを作る側が一方的に伝えたいことをアピールしてしまい、ターゲットが求めていることとタイトルの内容がずれてしまいます。
ターゲットの悩みを具体的に知るためには、顧客へのインタビューやアンケートを実施して、日頃感じている不便、不満、不安などを聞き出すことが有効です。また競合他社サイトで「こんなお悩みありませんか?」と書かれている部分の内容やQ&Aサイト、通販サイト上の競合商品のレビューも参考になります。
伝えたい「メリット」を整理する
チラシのタイトルを考えるときは、読み手に伝えたいメリットを事前に整理しておくことが大切です。整理するときのポイントは、読み手が得られるメリットを挙げることです。チラシを作る側が売りこみたい商品やサービスの特徴という基準で挙げてはいけません。マーケティング領域で「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」と言われるように、ターゲットの行動のきっかけとなるのは自分にとって有益な情報だからです。なお、上でご紹介した「ターゲットが解決したい悩みを想像する」ができれば、伝えたいメリットは自然に出てくるでしょう。
「メリット」の根拠を整理する
チラシのタイトルを考えるためには、メリットを信じるに足る根拠も用意する必要があります。例えば、メリットとして「おいしいお弁当」とタイトルに書いても、チラシの読み手にとっては広告で「おいしい」と書かれるのは当たり前なので信用してもらえません。メリットを載せる際は、「〇〇産の素材を利用した〇〇〇」「1時間待ちの行列ができた〇〇〇」のように、メリットの根拠となる具体的な情報も一緒に示しましょう。
一読で理解できるタイトル文を考える
チラシのタイトル文は一度読んだだけで理解できる簡潔な表現にしましょう。チラシの内容が読まれるかどうかは、読み手がチラシを手にした一瞬で判断されるためです。
タイトルの表現を分かりやすくする具体的なコツは、「2.【文例付き】読み手に刺さるタイトル表現の考え方6つ」でご紹介します。
デザインを工夫してタイトルを目立たせる
チラシのタイトルは、読み手の関心を集める重要な部分であるため、デザインを工夫して目立たせることが大切です。チラシは、多くの場合、読み手にとっては複数枚のうちの1枚として扱われます。そのためタイトルは、他のチラシと並んでも目を引くようなデザインにしましょう。
しかし、タイトルを派手に装飾しすぎるとかえって読みづらくなります。デザインを考えるときは読みやすさも考慮しなければなりません。読みやすく目立たせるデザインの具体的なコツは、「3.チラシのタイトルを目立たせるコツ4つ」でご紹介します。
2.【文例付き】読み手に刺さるタイトル表現の考え方6つ
チラシのタイトルはチラシ全体の内容をイメージさせる見出しの役割を果たすため、どのようなタイトル文にするかは重要です。同じ内容のチラシであってもタイトルによってお客さんの反応は大きく変わります。
以下では、限られた文字数の中で瞬時に読み手の心を捉え、その先の情報を読んでもらうために、タイトル文を作るにあたって押さえておくべきポイントを6つご紹介します。
▼チラシのタイトル文を作るコツ
(2)ターゲットが求める理想像を描く
(3)宣伝する商材の一番の強みを入れる
(4)数字や実績、評価を入れる
(5)限定であることを示す
(6)商材を利用した後を想像できるようにする
(1)ターゲットの属性や悩みに触れ、共感を
チラシのタイトルは、ターゲットの年齢層・性別などの属性やターゲットが悩んでいそうなこと、気になっていそうなことを入れると効果的です。チラシを見たときに「自分に関係がある」と思ってもらえ、本来伝えたかったメッセージを読んでもらえる確率が上がるからです。ターゲットの悩みは、実際の利用者やターゲット層に近い方々にヒアリングをして考えましょう。
以下では、ターゲットの年齢層や悩みを入れたチラシタイトルの具体例を紹介していますタイトル文を考えるときの参考にしてみましょう。
▼ターゲット属性や悩みを入れたチラシのタイトル文例
・お孫さんとビデオ通話したい方に
・定年後の再就職をお考えの方に
・誰にも頼らずにパソコンを使いたいあなたに■健康食品・サプリメント通販
・50代、お腹の脂肪さえどうにかなれば
・50代60代、血圧が気になる方に
・60代70代、関節痛でお悩みの方に
・70代、年齢とともに低下する記憶力の維持に
■リフォーム会社
・60代70代の皆様へ!家の塗替えセミナー
・冬のお風呂場寒くありませんか
・お手入れ簡単なIHコンロ
・リフォームで光熱費見直し
(2)ターゲットが求める理想像を描く
チラシのタイトル文でターゲットが求める理想像を示すと、ターゲットがメリットを具体的にイメージでき、共感を得やすくなります。ターゲットの理想像をタイトルにするときは、商品やサービスを利用したビフォー・アフターや、お客さまの声の形で表現するのがおすすめです。
以下は、ターゲットが求める理想像を入れたタイトルの例です。タイトル案を作るときの参考にしてみましょう。
▼ターゲットが求める理想像を入れたチラシのタイトル文例
・あなたのかわりに作ってお届け夕食宅配
・友人からどこの化粧品を使っているの?と聞かれるように
・お使いのパソコン、今の動作速度で満足していますか?
・「2カ月で5㎏減りました」と喜びの声(静岡市在住・40代女性)
(3)宣伝する商材の一番の強みを入れる
チラシのタイトルに商品やサービスの一番の強みや特徴を入れると、読み手に興味を持ってもらえたり、他の商材との違いを理解してもらえたりします。一番の強みは、他の商材と比べてどこが優れているのか、短い文章で表現することがポイントです。また、伝えたい文字が一目で分かるよう、以下のように色や大きさを変えることで目立たせることができます。
以下では、商材の一番の強みを入れたタイトル例を紹介しています。タイトルを考えるときの参考にしましょう。
▼商材の一番の強みを入れたチラシのタイトル文例
・75歳まで申し込める生命保険
・積雪強風に備える雪でも安心カーポート
・大切な家族を守る保障が月々掛金1000円から
・起動5秒でフルパワー!ガス暖房
(4)実績・評価などの数字で表現できる情報を含める
チラシのタイトルに実績や評価などの数字を入れると、何を得られ、どんな未来が待っているのか、具体的なイメージがわきやすくなり、商品やサービスの信頼性が高まります。数字情報は、信頼性が伝わる期間や実績数、簡便性が伝わる時間や期間などで示すことをおすすめします。
以下では、数字や実績、評価を入れたタイトルの具体例を挙げています。タイトル案を考えるとの参考にしましょう。
▼数字や実績、評価を入れたチラシのタイトル文例
・延べ10,325人の合格実績
・27年の経験を持つプロ講師
・顧客満足度3年連続NO.1
・口コミ1000件以上ある整体院
(5)限定であることを示す
チラシのタイトルは地域や期間、数量などを限定すると効果的です。商材の魅力が伝わっても行動を促す一押しがないと、読み手は行動を起こしてくれないこともあります。限定であることを示すと、早く行動しないという心理が働くので、行動を促す後押しになります。限定情報は、自分のことだと認識してもらい、かつ急いで行動することでメリットが得られる表現を使うことがポイントです。
以下は、限定であることを入れたタイトルの例です。タイトルを考えるときの参考にしてみましょう。
▼限定であることを入れたタイトル文例
・先着10名様限定、記念品プレゼント!
・締め切り迫る今月入会で、月会費3カ月間無料
・冬の大感謝セール 4日間限定!
・会員さま感謝デー、本日ポイント10倍
・数量限定、話題のスイーツ!
(6)商材を利用した後を想像できるようにする
チラシのタイトルに、商材を利用した後を想像できるような文言を入れると、読み手に商材の魅力を自分ごととして理解してもらえます。実際の利用者の声や課題感が背景に見える文言がターゲットに刺さります。
以下は、商材を利用した後を想像できるようなタイトルの例です。タイトルを考えるときの参考にしてみましょう。
▼商材を利用した後を想像できるようなチラシのタイトル文例
・朝スッキリ起きられる首肩コリ専用枕
・会話を聞き取りやすくするには補聴器から
・嫌なニオイが消えるエアコンクリーニング
・ノンシリコンで髪を傷めない白髪染め
3. チラシのタイトルを目立たせるコツ4つ
チラシのタイトルは読み手が最初に見る部分であるため、心に刺さる短い言葉と目立つデザインで読み手の注意を引く必要があります。
以下では、チラシのタイトルを目立たせるために、押さえておくべきポイントを4つご紹介します。
▼チラシのタイトルを目立たせるコツ
(1)短くする
チラシのタイトルは短ければ短いほど良いでしょう。タイトルを短くすることで、限られたスペースの中で、文字サイズを大きくして目立たせることができます。また、短い文字の方が読み手の印象に残りやすくなるからです。人が一瞬で認識できる文字は9~13文字程度で、Yahoo!ニュースのタイトルも13文字程度までとされています。どうしても長くなってしまった場合はメインタイトルとサブタイトルに分けてメリハリを付けましょう
(2)最初に目線に入るところにレイアウトする
チラシのタイトルは、最初に目に入るところを狙ってレイアウトをしましょう。チラシを見る人間の視線に入る場所は上部3分の1、中心、端など、ある程度は決まっています。レイアウトによって印象が変わるため、複数案作成し、第三者に見せてどれが一番目立つか判断してもらうと良いでしょう。
以下は、最初に目線に入るタイトルのレイアウト例です。チラシタイトルのレイアウトを考えるときに参考にしてみましょう。
▼チラシのタイトルのレイアウト例8パターン
(3)それぞれのフォントが与える印象を生かす
チラシタイトルを目立たせるためには、それぞれのフォントが与える印象効果を把握し、与えたい印象に適したフォントを選びましょう。チラシでは、ゴシック体、明朝体のフォントがおすすめです。例えば、力強さを印象づけしたいケースでは、ゴシック体が、文字の線が均一で太いため、目立って効果的です。フォントは、Windowsなら游ゴシック、メイリオ、Macは、ヒラギノ角ゴシックがおすすめです。以下はフォントの特徴と与える印象についての違いです。フォント選びの参考にしましょう。
▼フォントが与える印象の違い
フォント | 特徴 | 与える印象 |
---|---|---|
ゴシック体 | 均等な太さで表現される | 親近感、安定感、男らしさ、力強さ |
明朝体 | 縦線より横線が細く、字に強弱がある | 高級感、誠実さ、やわらかさ、女性らしさ |
筆書体 | 筆で描いたような、手書き感が印象的 | 繊細さ、品の良さ |
また、チラシタイトルは、目立たせることと合わせ、読みやすさも意識して選ぶことがポイントです。タイトルが目立つだけではチラシデザインで違和感がでてしまい逆効果になってしまうことがあるので、読みやすさも考慮してフォントを選びましょう。一般的にはゴシック体や明朝体がよく使われますが、読みやすさについては、視認性が高い太めのゴシック体が良いでしょう。以下では、ゴシック体、明朝体、筆書体の読みやすさ・見やすさ・分かりやすさを比較しています。フォント選びの参考にしてください。
▼フォントの読みやすさの違い
フォント | 可読性 (読みやすさ) | 視認性 (見やすさ) | 判読性 (分かりやすさ) |
---|---|---|---|
ゴシック体 | 〇 | ◎ | ◎ |
明朝体 | ◎ | 〇 | ◎ |
筆書体 | - | - | - |
*筆書体の可読性、視認性、判読性はフォント(楷書、草書、行書、勘亭流、教科書など)によって異なります。
可読性…読みやすさの度合い、文字として認識できるかどうか
視認性…文字の見えやすさの度合い、一目見て文字と認識できるかどうか
判読性…文章のわかりやすさの度合い、正確に文章の意味が伝わるかどうか
(4)文字サイズを最適なサイズに設定する
チラシタイトルの文字サイズは、本文量に合わせて最適なサイズで設定することをおすすします。タイトルを目立させるためには、本文スペースとの調整をしてなるべく大きなサイズで記載するようにしましょう。以下の本文スペースに合わせたフォントサイズの目安です。
▼チラシタイトルのフォントサイズの目安
チラシタイルのフォントサイズの目安は、本文スペースがチラシの半分の場合は60~120Pt、本文スペースが2/3の場合は50~80Pt、本文スペースが4/5の場合は20~40Ptを目安にフォントサイズを決めましょう。
【コラム】インパクトのあるタイトルにする方法
チラシタイトルは読み手の印象に残るデザインにしましょう。影、立体、グラデーションなどの装飾をすることで、目立ちやすくなったり、高級感のある仕上がりになったります。以下のフォント装飾の例を参考に、インパクトのあるデザインにしましょう。
▼インパクトのあるフォント装飾の例
文字装飾 | 用途 |
---|---|
影 | 境目ができて、文字が目立ちやすくなる |
立体 | インパクトが大きくなる |
グラデーション | 輝いている雰囲気になり、高級感がでる |
4.タイトルを付けるときの注意点2つ
3章ではチラシタイトルを目立たせるコツについて解説しましたが、タイトルを作成する際に、注意すべき点があります。「過度な表現は避ける」と「著作権のある文章は使わない」について詳しく解説します。
過度な表現は避ける
チラシタイトルを作成する際、過度な表現を入れるとことは避けましょう。過度な表現は読み手にとって「本当なの?」と誤解を与え、逆効果になることがあるからです。また、景品表示法や、薬機法など法令に違反するリスクもあります。
▼チラシのタイトル作成時に注意しておきたい広告表記の法令
薬機法:健康食品などの誇大広告を防ぐ法律
※参考:消費者庁│景品表示法(2022年8月9日)
※参考:e-GOV│薬機法(2022年8月9日)
著作権言語は使わない
チラシのタイトルに、小説や論文など著作権を持つ文章は使わないようにしましょう。チラシに用いるイラストやロゴ、画像などについては、著作権が存在していることはよく知られていますが、タイトルに使う文字も著作権にあたる可能性があります。例えば、映画・楽曲、本のタイトルをチラシタイトルとして使うと著作権侵害にあたる可能性があるので注意しましょう。下記は公益社団法人著作物情報センターに記載されている著作物の種類です。
▼著作物の種類
※参考:公益社団法人著作権情報センター│著作物の種類(2022年8月9日)
5.まとめ
チラシのタイトルは売り手ではなく買い手視点で考えることが大切です。そのためにはまずターゲットをよく知ることが必要です。ターゲットの解決したい悩みを想像し、伝えたいメリットを考え、メリットの根拠を一読で理解できる、心に刺さるタイトル文を作りましょう。そして、デザインの方向性を決めて一貫性のあるチラシ作りを目指してください。
PoPin’では、チラシ広告初心者の方で、もっと概要寄りのデザイン作成やチラシ配布の方法について知りたい方のために、以下のような記事を用意しています。ぜひご覧ください。
▼「ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター」内の初心者向け記事
(1)デザインの一番基本となる、レイアウトの決め方を知る記事
(2)タイトル・キャッチコピーの作り方を知る記事
(3)チラシに使うイラスト素材の探し方を知る記事
(4)フォントの選び方を知る記事
(5)厚さ・紙質などチラシに使う用紙の選び方を知る記事
(6) おしゃれなチラシの作り方を知る記事
(1)ポスティング、新聞折込、新聞以外への折込、デジタルチラシ・・等手法の特徴を知る記事
(2)ポスティングのやり方・コツを知る記事
(3)折込広告のやり方・コツを知る記事