チラシにクーポンを付けた際、“ユーザーからの反響がまったく無かった”など残念な結果をご経験の方は意外と少なくないようです。何のためにクーポンを付けるかはっきりしていないと、クーポン内容も曖昧になりがちで、ユーザーに響くことなく失敗に終わってしまう可能性が高くなります。ではどのようにしたら失敗を回避できるのか、そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事ではクーポンが失敗しやすい側面を持つ一方で、それでも付けた方が良い理由を説明します。またよくある失敗例とクーポン施策をムダにさせないためのポイントも解説していきます。
1.単純にクーポンを付けるだけではチラシの効果は上がらない
チラシ施策に応じたクーポンを付けなければ、コストと時間だけがかかりムダに終わってしまい、チラシの効果を上げることにもつながりません。
例えば客単価を向上させたい場合に、「先着30名様に限定グッズプレゼント!」のような特典付きクーポンを付けても、来店客数は増えますが売り上げに結び付くとは言えず、チラシ施策の目的には寄与しません。
クーポンはチラシ施策の効果を高められる一方で、やり方次第で失敗しやすい側面もあります。
2.チラシにクーポンを付けるべき3つの理由
クーポンはやり方が適切でないと失敗しやすいという側面がありますが、やり方を工夫することでチラシの効果が上がり、自店・自社へのメリットが生まれるので、実施すべき施策の1つと言えます。
ここではチラシにクーポンを付けるべき3つの理由とメリットにつながる仕組みについてそれぞれ詳しく説明します。
▼クーポンを付けるべき3つの理由
(2)購買や来客行動の一押しをするため
(3)まとめ買いや継続買いの売上を増やすため
(1)チラシの効果測定を行うため
クーポンにより、その回収数からどの程度利用されたかを把握できるので、効果測定に活用できます。
チラシの効果測定を行うことで、消費者がどのような情報に興味を持ち、どのようなクーポンに反応を示すのかを把握できます。それにより改善点が見えやすくなり、今後の販促戦略の効果を高めるメリットがあります。
さらに、クーポンの利用数やクーポン利用による売上高、ユーザーからのフィードバックなどを集計することができ、チラシの効果を客観的に把握することで適切な効果測定につながります。
▼効果測定方法の一例
・クーポンの利用数を測定する
クーポンがどのくらい使われたかその数を測定することで、チラシによる販促効果を確認できる
・販売数を測定する
クーポンを付けたことで、商品の販売数がどれだけ増加したかを確認できる など
チラシにクーポンを付け効果測定を行うことはさまざまな業種で有効ですが、小売業や飲食業では特に効果が高いと言えます。商品やサービスの種類が多く、定期的にアピールしたい内容が変化する業種はクーポンの活用に適しています。
▼クーポンによる効果測定が有効なケース
・小売業
新規顧客の獲得やリピート購入の促進に最適
→クーポンの種類や配布先を変え、どのような顧客が反応しやすいか分析もできる
・飲食業
新しいメニューやサービスの宣伝による集客に最適
→どのメニューに利用されたかで顧客の嗜好を分析できる
(2)購買や来客行動の一押しをするため
チラシを見るだけの消費者に対し、クーポンを付けることで「買ってみたい」「行ってみたい」と思わせることができ、新規顧客の獲得につながります。
クーポンに惹かれ利用してみたいと思う消費者は、本来購入する予定のなかった商品やサービスを購入する可能性があります。
例えば「無料クーポン」であれば、条件付きで商品やサービスを無料で手に入れられるという魅力があります。また利用期限や数量制限の設定により購入の緊急感と限定性が生まれます。この2点の要素から「得して買うには今しかない」という心理が働き、購買行動の一押しにつながるといった仕組みとなります。
具体例として以下のような内容が利用されています。
無料クーポン例
・2名様以上のご利用でランチドリンクを各1杯無料
・19時前の来店でビール1杯無料 など
上記のようなクーポンを付けることで、来店のきっかけを作り出し、購買行動の一押しにもつながります。
よく使われるケースとして小売業では新しい商品やサービスの販促施策としてチラシに割引クーポンを付けたり、サービス業では初回利用の際に割引や無料体験できるクーポンを付けたり、消費者にメリットのある内容が挙げられます。
▼クーポンが購買・来客行動の一押しに有効なケース
・小売業
割引クーポンにより新規顧客獲得や既存顧客の再来店に有効
・サービス業
無料体験クーポンや初回割引クーポンなどで新規顧客獲得に有効
(3)まとめ買いや継続買いの売上を増やすため
売上増の要因となる顧客単価の向上や、継続して商品を購入されるリピーターの獲得が思わしくないケースに対しては、複数のクーポンを付けることで対処できます。
クーポンを複数つけたチラシを配布することで、ユーザーはより多くの割引や特典を受けることができ、購買意欲向上につながるため、まとめ買いやリピート率の効果を生み出し、売上増が期待できます。
複数のクーポンを掲載すると、1つのクーポンを掲載する場合に比べて、より多くの消費者にアピールすることができます。さらにクーポンを「使う」か「使わないか」という考えが、「どれを使おうか」に変化するため購買意欲の向上につながるわけです。また消費者のニーズに合わせたクーポンを提供しやすくなるため、消費者が欲しいと思っている商品・サービスの割引や特典を掲載すれば、複数購入や継続購入の可能性を高めることができます。
特に日用品や食料品のような定期的に購入される商品に関しては、複数のクーポンを掲載して割引を提供することで、まとめ買いや継続買いに結びつきやすくなりますので、小売業に適した施策と言えます。
▼クーポンがまとめ買いや継続買いに有効な小売業の業種
・ドラッグストア
・家電量販店
・衣料品店 など
3.クーポンをチラシに付けた際の失敗例3選
ここではチラシにクーポンを付けた際によくある失敗例をご紹介します。
(2)一押しするクーポンになっていない
(3)もともとの常連客に使われてしまう
(1)クーポンの回収率「だけ」でチラシを評価してしまう
チラシにクーポンを掲載したが、ご利用されたお客様が少なかったためチラシは効果がないと判断し、集客ツールとして一定の効果があったチラシによる施策を止めてしまうケースがあります。
実際にはクーポンの内容が魅力的でなかったり、使い方がわかりにくかったり、クーポンそのものが原因で回収率が低くなってしまったのに、チラシのデザインや文言、配布方法に問題があったとみなしてしまう担当者も少なくありません。
クーポンをお持ちの方以外でもチラシが来店のきっかけになることは多く、クーポンを使わずに商品を購入した方や、クーポンは持っているが実際に使用しなかった方などがいます。クーポンの回収率だけではその効果が判断しづらいため、チラシ配布後の売上高やリピート率の変化、新規顧客獲得数なども交えて効果検証することが重要です。
そのためクーポンの結果とチラシ施策の結果は切り分けて検証することが大切で、各々を適切に分析しPDCAサイクルを回していけると、チラシの効果が高まっていきます。
チラシに対する適切な評価を行えないと、集客や売上増の機会損失という失敗につながってしまいます。
(2)一押しするクーポンになっていない
チラシに付けるクーポンは消費者が魅力を感じる特典でないと、利用する動機がなくなってしまい、購入や来店につながりません。
以前と同じようなクーポンを配り続けていたり、割引額や使用期限がお得感のない設定になっていたり、消費者がどのようなクーポンを利用したいかを考えて掲載しなければ、後押しにはならないでしょう。
▼魅力を感じづらいクーポンの特徴
・デザインが見にくい
・内容が長期間変わらない
・お得な印象を受けない
・使用期限が短すぎる
このようなクーポンはターゲットを決めていなかったり、クーポンの目的が曖昧になってしまっていたり、チラシの決め事がおろそかになっているケースで付けられがちです。
例えば以下のようなクーポンは使用条件や期限が書かれておらず、どのように使用してよいのか分かりにくいため、消費者にはクーポンの魅力が伝わりません。
クーポンを利用して得られるメリットが何なのか、どういう条件で使えるのかなどが一目で分からないと、使うのを諦めることに直結してしまいます。
(3)常連客からの利用ばかりで客単価が下がってしまう
チラシにクーポンを付けても利用されるのが元々いる常連客ばかりに偏ってしまい、割引などがなくても購入されていた既存顧客が割安で購入されるため、結果的に客単価の下落につながってしまいます。
チラシは配布するエリアが適切でないと、クーポンをもとに集客したいターゲット層に届いていなかったり、届いていたとしても使いづらかったり、効果が得られません。そのためクーポンのばらまきに終わってしまう可能性があるので、チラシの配布エリアの選定には注意が必要です。
例えば下記図のように自店舗をよくご利用されるお客様が店舗を中心とした半径1km圏内に多く存在していたとします。新規顧客の集客を目的として割引クーポンを付けたチラシ施策を実施する際、これといった配布計画もなく単純に店舗を中心とした半径1km圏内にチラシを配布しました。すると元々よくご利用されていたお客様は割安で購入でき、新規顧客の獲得につながったとしても、1人当たりの購入金額が少なくなったり、利益率が下がってしまったり、必然的に客単価が下がる結果となります。
新規顧客の獲得を目的としたチラシ施策であれば、上記図の青色のエリアに配布する方が効果の出る可能性が高いと言えます。
4.クーポンのコストをムダにしないために押さえておくべきポイント
チラシにクーポンを付けても効果がなければ、そのコストはムダになってしまいます。ここではクーポンのコストをムダにしないためのポイントを紹介します。
(2)使ってほしいターゲットを決める
(3)ターゲットを意識したクーポンと配布計画を作る
(1)クーポンを付ける目的や目標をはっきりさせる
チラシにクーポンを付ける目的や目標を明確にすると、ユーザーニーズを捉えやすくなり、クーポン利用率向上の一押しにつながります。
クーポンは付ける目的や目標によってその内容が異なります。目的や目標が明確になることで、どのようなクーポンが効果的か載せるべき内容の方向性が定まるため、ただ何となく載せたクーポンに比べ来店や購入のモチベーションを高めることができるからです。
クーポンを付ける目的や目標には例として以下のようなものが挙げられます。
▼クーポンを付ける目的・目標の例
目的/目標 | 効果 | 適したクーポン |
---|---|---|
新規顧客獲得 | ・来店や購入のきっかけを作り出す ・競合店との差別化を図るなど | ・割引クーポン ・無料体験クーポンなど |
リピーター獲得 | ・商品やサービスの再購入を促す | ・割引クーポン(複数枚掲載) ・期間限定や個数限定クーポンなど |
購入単価の向上 | ・購入予定以上のものを購入したくなるよう購買意欲を高める | ・3,000円以上購入で〇〇%OFF ・2点購入で2個目が半額など |
目的や目標によって掲載に適したクーポンを選択することがポイントとなります。
(2)クーポンの中身・見せ方をターゲットに沿ったものにする
チラシにクーポンを付ける際にはターゲットを決めることが重要です。ターゲット層に合わせたクーポンを提供すると、より興味・関心を持ちやすい顧客に訴求することにつながりますので、利用される可能性が高まります。
例えばスーパーマーケットにおいて主婦層がターゲットであれば日常的に購入される日用品や食料品の割引クーポンなどが効果的ですし、飲食店において独身ビジネスマンがターゲットであればランチタイムや帰宅時間に利用できる割引クーポンなどが有効です。
このようにターゲットのニーズにマッチする内容のクーポンを考え出すことは、利用される可能性を高めることにつながります。
(3)ターゲットに届く配布計画を作る
集客ターゲットの少ないエリアに配っても効果は期待できないため、ターゲットがどこに多くいるかを見極めることが重要です。効果の見込める配布エリアを選定することで、ターゲットにリーチしやすくなり費用対効果の向上が期待できます。
下記はエステサロンAが新規顧客獲得を目的としたチラシ施策の例です。
ターゲットは20~30代の女性で、その層がメリットを感じ来店動機につながる「オリジナルフェイスパック」のプレゼントクーポンを作成しました。
店舗が〇〇駅のすぐ近くにあるため、駅周辺のエリアに配布したいのですが、予算の関係から駅の北側か南側のどちらかのエリアにしか配布できない状況です。
▼○○駅を中心とした半径3km圏内の町丁目別20~39歳(女性)人口比率
ここでマーケットデータを利用し20~30代の女性が多く居住しているエリアを確認したところ、南側のエリアの方が明らかに20~30代の女性比率が高いため、駅南側エリアへの配布を選択したという流れになります。
↓
・店舗の最寄り駅である〇〇駅を中心とした半径3km圏内に配布したい
↓
・予算的にその半分くらいにしか配布できない
↓
・駅の北側エリアか南側エリアに絞る
↓
・マーケットデータから駅の南側エリアにターゲットが多く居住していることを確認
↓
・駅の南側エリアにチラシを配布することを決定
ターゲットを意識したクーポン内容を設定し、マーケットデータなどを活用した配布計画を作ることで、ターゲットに届きやすい配布につながります。
当メディアではさらに詳しくクーポン付きチラシや配布計画について紹介した記事がありますので、よろしければご覧ください。
▼当メディア参考記事
「クーポン付きチラシのテンプレート2選|反響率を高める作り方のコツも解説」
「チラシの反響率は?反響率を高めるチラシ作成と配布計画のポイントを解説」
また当社が提供しているポスティング・オリコミ・プランナー(POP)を使えばターゲット層に合わせた配布エリア設定がWeb上で簡単にプランニングできます。POPでは、「年齢層」「性別」「世帯年収」など、およそ250種類の属性を選択することができ、さらに折込チラシやポスティングの配布計画まで一括してプランニングできます。この機会にぜひご利用されてみるのはいかがでしょうか。
4.まとめ
チラシのクーポンは、ターゲットに響かないと回収率が低くなってしまったり、常連客に偏って使われてしまうと客単価が下がってしまったり、やり方次第で失敗してしまうことも珍しくありません。
クーポンを付ける際は、目的を明確にして、ターゲットに利用価値のあるものを提供することで失敗の回避につながります。またターゲットのいるエリアを絞り、効率的な配布をすることによってクーポンのコストをムダにせずに済むでしょう。
当メディアでは、オリコミ・ポスティングに役立つノウハウやコツを紹介しています。その中でも「配布計画」に関連した記事を用意しましたのでご覧ください。
▼「ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター」内の《配布計画》関連記事