ポスティングでGISデータを有効活用|GISデータでできることとメリットも解説

ポスティングを利用したいけれど「費用対効果が高い配布方法を知りたい」や「配布方法に種類はあるの?」とお悩みの経営者様、販促担当者様も多いのではないでしょうか。

この記事では、ポスティングでGISデータを活用してできることと、GISポスティングのメリットを解説しています。またチラシの反応率を上げるのに効果的な配布計画策定方法を6つのステップで解説しています。

1.GISポスティングとは?

GISとは、「Geographic Information System」の頭文字をとった略称で、日本語では「地理情報システム」と言われています。GISをポスティングに活用することで、費用対効果の向上が期待できます。ここでは、GISポスティングの概要と2つのメリットを解説します。

GISデータを活用したポスティング方法

GISポスティングとは、地理情報システム(Geographic Information System)を利用したポスティング配布方法を指します。GISシステムを使うことで、さまざまなデータをコンピューターの地図上に表示することでき、自社のターゲットがどこに多く住んでいるかを可視化・分析することができます。

GISについて少し補足すると、このシステムは、国土地理院の地理情報や、国勢調査(人口・世帯数・年齢分布・その他のビッグデータなど)の情報を地図上に表示することで、視覚的に地理情報を把握することができます。

例えば「20歳代の女性がどこに多く住んでいるか知りたい」という場合、GISデータを検索・抽出するとコンピューターの地図上に色分けされたグラフや数値が表示されて目に見える形で表現してくれます。

GISポスティングの実施方法・活用シーン

GISポスティングを実施するときは、まず自社のチラシを届けたい相手を設定します。その次に、設定した条件に合った人が多く住んでいるエリアをGISで抽出します。最後に、抽出したデータをもとに決めた配布エリアへ集中的にポスティングを行います。このように、GISデータを活用することで自社のターゲットが多く住んでいるエリアに絞ってピンポイントにチラシ配布することができます。

以下では、業種別にGISで抽出できる属性の一例をご紹介します。

▼【業種別」GISポスティングで抽出できる属性の一例

業種属性
エステ女性人口:30歳~40歳
住宅リフォーム戸建て
新築住宅販売共同住宅
塾・予備校夫婦と18歳未満の子供から成る世帯

上図のように、ターゲットが明確であればGISポスティングは効果的な広告手法になります。ターゲットが多く住むエリアに絞ってポスティングすることで、「とりあえず近隣にチラシ配布してみる」のような面配布よりムダが省けて効率的に結果を享受できるでしょう。

▼GISポスティングが向いている業種

デリバリー(宅配)ピザ、ハンバーガー、お弁当等
美容美容院、エステ、化粧品等
医療整体、マッサージ等
不動産分譲マンション、住宅販売、住宅展示場イベント、住宅リフォーム等
習い事学習塾、英会話、カルチャースクール、スポーツジム、フィットネスクラブ等
生活サービスフォトスタジオ(写真館)、クリーニング、介護施設、便利屋、冠婚葬祭等

GISポスティングはターゲットが明確になっていなければ、効果が発揮されません。もし、ターゲットがはっきりしていない場合は、「目標・目的を定める」→「ターゲット候補を洗い出す」→「ターゲットを決める」の順番で、自社に合ったターゲットを見つけるところから始めてみましょう。

ポスティングのターゲット選定方法については、「ポスティングのターゲット選定と反響を高める配布計画とは?
で詳しく解説しています。

GISポスティングの2つのメリット

GISポスティングは、一般的な「○○市に配布する」や「○○区に配布する」、「店舗中心に半径○○kmに配布する」のような軒並み配布(ローラー配布)とは違った特徴(強み)があります。ここでは、「GISポスティング」を利用したときの2つのメリットを解説します。

(1)データに基づいた確実性
(2)費用対効果の高さ

(1)データに基づいた確実性

1つ目のメリットは、GISデータの確かなデータを基に確実性の高い「根拠」ある配布エリアを選択することができることです。一般的な「軒並み配布(ローラー配布)」は、「なぜここのエリアに配布したのか」の理由はありませんでした。そのため、自社のターゲットと関係のない相手にチラシを届けていた可能性があります。そのような配布方法では当然、チラシの反響は期待できません。

(2)費用対効果の高さ

2つ目のメリットは、根拠あるデータを基に配布エリアを細かく設定することができるので、人件費やチラシの印刷部数を抑えることで、費用対効果が高くなります。「GISポスティング」は、国勢調査のデータを基にターゲットが多く住むエリアに重点的にチラシ配布することができます。一般的な「軒並み配布(ローラー配布)」は、どうしてもターゲットとは程遠い層にもチラシが届いてしまい、配布した手間やチラシが無駄になってしまっていました。

また、ターゲットが少ないエリアを除外することで、相対的に高いレスポンスが期待できます。このように、GISポスティングは効率よくターゲットにアプローチできるので、一般的なポスティングより優れている広告手法と言えます。

【コラム】GISポスティングに役立つソフト3選

GISソフトには種類があり、国が公開しているものやシステム会社が公開しているもの、無料・有料とさまざまです。ここでは、ポスティングを利用する際に役立つGISソフトを3つご紹介します。それぞれのGISソフトが持つ特徴をまとめましたので、利用する際の参考にしてください。

▼ポスティングに活用できるGISソフト

ソフト名販売元・提供元料金特徴
EarthFinder(アース ファインダー)国際航業有料ポスティングの配布エリアを表示し、効率的なチラシ配布計画が立てられる。地図上で顧客分布状況を把握でき、効率的な営業活動に活用できる。エリア別・統計データ別に素早く簡単にマーケティング資料の作成ができる。
JSTAT MAP(ジェイスタットマップ)総務省無料WEBサイトの地理情報システム。統計地図を作成する他に、利用者のニーズに沿った地域分析が可能となるような機能が提供されている。
RESAS(リーサス)内閣府/経済産業省無料地域経済に関するビッグデータ(産業の強み、人の流れ、人口動態など)が地図やグラフで視覚的に表示される。ただし、国、都道府県、市区町村単位で区分けされているため、特定の地域のデータを取得するのには不向き。

*2022年4月28日調べ

 

2.ポスティングで活用できるGISデータの種類

ポスティングで活用できるGISデータ(世帯数、総人口、性別人口、年齢別人口、年収別世帯数、集合住宅数、戸建て住宅数など)はたくさんあります。ここでは、ポスティングエリアを決めるときに役立つGISデータで抽出できる属性の一例をご紹介します。

年代別人口比率(男性・女性)

年代別人口比率とは、「全体の人口」に対して「対象となる年代の人口」が何パーセントいるか数値化したものです。若年層や高齢層といった年代を対象にサービスしている業種に活用されています。下記は、GISで抽出した年代別人口比率(男性・女性)を地図上に表示したものです。

▼40歳~49歳男性人口比率


上図は「40歳~49歳男性人口比率」のデータを地図上に表示しました。ポスティングでは、「40代独身男性」をターゲットにしたテイクアウトや「健康志向が強く、運動不足解消したい40代ビジネスマン」をターゲットにしたスポーツジムなどによく使われる指標です。

▼30歳~39歳女性人口比率


上図は「30歳~39歳女性人口比率」です。ポスティングでは、「自分磨きに熱心な30代OL」をターゲットにしたエステ店や化粧品店などによく使われる指標です。

世帯年収

世帯年収とは、「一世帯」当たりの年間収入を数値化したものです。地域ごとの世帯年収にどのような傾向や特徴があるのかを把握することができます。下記はGISデータを用いて地図上に世帯年収数を表示してみました。

▼年収700万円~1000万円世帯数


上図は「年収700万円~1000万円世帯数」です。ポスティングでは、「富裕層」をターゲットにした高級分譲マンション販売や外車ディーラーなどでよく使われる指標です。

集合住宅数比率

集合住宅数比率とは、「全体の世帯数」に対して「集合住宅に居住している世帯数」が何パーセントいるか数値化したものです。地域ごとの住宅の建て方にどのような傾向や特徴があるのかを把握することができます。下記はGISデータを用いて地図上に集合住宅数比率を表示してみました。

▼集合住宅数比率


上図は「集合住宅数比率」です。ポスティングでは、「マイホーム購入を検討している」方をターゲットにした新築住宅販売や「単身アパート住まい」の方をターゲットにしたクリーニング店などでよく使われる指標です。

一戸建て住宅数比率

一戸建て住宅数比率とは、「全体の世帯数」に対して「一戸建て住宅に居住している世帯数」が何パーセントいるか数値化したものです。地域ごとの住宅の建て方にどのような傾向や特徴があるのかを把握することができます。下記はGISデータを用いて地図上に一戸建て住宅数比率を表示してみました。

▼一戸建て住宅数比率


上図は「一戸建て住宅数比率」です。ポスティングでは、「築年数も経ってきて色々と傷みが出てきた」家をターゲットにしたリフォーム業や「ペットを飼うことに縛りがない」家をターゲットにしたペットショップなどでよく使われる指標です。

3.チラシの配布計画とは?

チラシを配布する際に、配布計画を立てるのと立てないのでは、実施後の反響率大きく影響してきます。配布計画とはチラシを「誰に(年代、求めるもの)」「どこに(配布エリア)」「何枚(配布部数)」「いつ(配布日程)」配るか決めることです。

ここではポスティングの配布計画の策定例を6つのステップに分けてご紹介します。

GISを使った配布計画の策定例

GIS(地理情報システム)を使えば無駄を少なくしてターゲットにチラシを届けることができます。 GISとはさまざまなデータをコンピューターの地図上で扱う情報システム技術のことです。位置に関する複数のデータを地図上で表示することで、ターゲットがどこに多く住んでいるかを可視化・分析できます。

実際にGISを用いてエステチラシの配布計画を立ててみました。下記はその配布計画の一例です。

▼エステA店でのチラシの配布計画例

■ターゲット
ボーナスが入ってお財布に余裕があるOL

■地域特性・マーケットデータ
40歳代女性

■配布エリア
自社中心半径2km圏内、40歳代女性人口比率が高いエリア

■配布枚数
20,000枚

■配布期間
2022年7月18日(月)~7月24日(日)

 

GISを使ったポスティング配布計画例

上図ではGISを使い、自社の商圏内のターゲットが住む比率が高い地区への配布プランを立てました。ターゲットが住む比率が低い地区を除外することで、より効果的にターゲットに配布することができます。

配布計画策定の6つのステップ

先ほど挙げた「エステA店でのチラシ配布計画内容」は、大きく6つのステップを踏んで作成されています。この作成事例において、それぞれのステップでの考え方をご紹介します。

(1)ターゲットを設定する
(2)地域特性とマーケットデータを把握する
(3)ターゲットに合った配布エリアを決める
(4)配布する枚数を決める
(5)配布する日程を決める
(6)実施後に配布計画を見直す

 

本メディアでは、配布計画の策定方法を「目的別」と「業種別」に分けて、それぞれ解説しています。ターゲット設定の参考にしてみてください。

▼配布する目的別に配布計画の策定方法を解説した記事

▼業種別の配布計画策定方法を解説した記事

【コラム】ポスティングの配布計画をツールで簡単に策定する方法

GIS(地理情報システム)を使って適切な配布計画をするには、エリア分析に費用と時間がかかってしまいます。そこで、GISを使わなくてもターゲット層に合わせた配布エリア設定をWEB上で作成できる、ポスティング・オリコミ・プランナー(POP)サービスがおすすめです。

POPを使えば無料で「年齢層」「性別」「世帯年収」など、およそ250種類の属性を選択することができ、さらにポスティングの配布計画まで一括して簡単にプランニングできます。POPの配布プランは以下4つのステップで簡単に設定することができます。配布計画策定の参考にしてください。

▼ポスティング・オリコミ・プランナー(POP)の配布プラン設定方法

(1)ターゲットの設定
(2)配布条件の設定
(3)配布地域の設定
(4)シミュレーション結果の表示と再編集

以下は実際にPOPを使って、エステA店の配布計画を策定する方法です。

(1)ターゲットの設定

ターゲット属性を最大5つのカテゴリから選んで設定します。今回は「女性人口40~50歳(女性人口)」を選択。カテゴリは年収・住居体系、物販・消費財支出、サービス支出、性別・年齢・配偶者、子ども、職業の有無の250種類から選ぶことができます。

(2)配布条件の設定

印刷依頼の有無、配布方法(ポスティング・新聞折込)、配布日程、チラシのサイズを設定します。印刷ありを選択した場合は、印刷色、用紙、厚さを選びます。今回は、印刷依頼なし、ポスティング、7月18日~7月24日、A4で設定しています。

(3)配布地域の設定

配布地域を静岡県か東京都23区のどちらか選び、郵便番号か住所を入力し配布中心地点を設定します。今回は、店舗の郵便番号「〒422-8051」を入力しています。

(4)シミュレーション結果の表示と再編集

次の画面では、設定したシミュレーション結果(半径2kmで配布部数16,650部、合計金額89,744円)が表示されます。設定内容を確認し、配布地域を自社商圏(半径0.5km~4.5km)の間で設定するか丁目指定で設定すると、再シミュレーションが可能です。シミュレーション結果を検討の結果、実施する場合は「注文する」をクリックすることで発注できます。

このようにPOPを使えば、250種類の属性の中からターゲットを絞ることができ、GISを使うよりも簡単に配布計画を立てられます。また、印刷依頼もできるので「印刷+配布」を一括してご発注いただけます。さらに、POPはWEB上での発注システムなので24時間対応しており、お客様のご都合のいい時間でお申し込みが可能です。
*参考:ポスティング・オリコミ・プランナー|開発中画面(2022年4月25日)

4.まとめ

GISポスティングは、信頼できる国勢調査のデータを基に、ターゲットのいるエリアに絞ってポスティングすることができる新しい広告手法です。データを有効活用して、ムダ配布を減らし費用対効果の高い手法で販促活動を行いましょう。さらに、「いつ配布するか」「何枚チラシを配るか」といった配布計画まで考えられるとより効果的に実施できるでしょう。

なお、この記事では「チラシのムダ配布削減」に特化したテクニックを中心に紹介しています。チラシ広告初心者の方で、もっと概要寄りのデザイン作成やチラシ配布の方法について知りたい方のために、下のような記事を用意しています。ぜひご覧ください。

▼「ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター」内の初心者向け記事

 

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