セールチラシのムダ配布を減らそう|ターゲット設定と配布計画策定方法を紹介

店舗のセール告知は即効性のあるチラシが有効です。ただし、単に多くのチラシを配布すれば集客はできるかもしれませんが、広告経費は膨らみ、費用対効果が低いことに悩まれている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、セールチラシにおけるターゲット設定を3つのステップで説明します。またGISを使った配布計画の立て方も6つのステップに分けて解説しています。さらに、ツールを使って配布計画を簡単に策定する方法もご紹介します。

1.セールチラシのターゲット設定の3つのステップ

セールチラシで集客・告知効果を得るためには、ターゲットの設定が必要です。セールチラシでどんなにお得な情報を掲載しても、自店の商品やサービスに興味、関心がない人に届いては意味がありません。ターゲットを絞り、必要な人に有益な情報を届けることができれば、チラシの効果を最大限引き上げることができます。

以下では、セールチラシでのターゲット設定を3つのステップに分けてご紹介します。

(1)ポスティングの目的と目標を明確にする
(2)ターゲット候補を洗い出す
(3)ターゲットを決める

(1)ポスティングの目的と目標を明確にする

セールチラシのターゲット設定を行うときは、まずポスティングの目的と目標を明確にしましょう。具体的な目的と数値目標を立てれば、ターゲットが具体化され、作成するチラシの方向性も定まります。下記はセールチラシの目的・目標を業種別に設定した一例です。

▼目的・目標の設定例

<アパレル・家電量販店>
目的:決算セール 売上と来店促進
目標:セール期間内で○○万円の売上

<ガソリンスタンド>
目的:〇周年感謝セール 再来店と新規会員登録
目標:セール期間内で新規会員登録100名

<家具・寝具店>
目的:閉店セール 在庫一掃
目標:閉店までに在庫を一掃すること

(2)ターゲット候補を洗い出す

次に、ターゲット候補を洗い出します。例えば「セール品に目がない高齢女性」「最新家電好きな若い男性」などが挙げられます。また、同じ30代女性でも「独身」と「子どもがいる人」では買う商品やお金の使い方は大きく変わるでしょう。まずは、自社の商品やサービスがどのような人物でどんな生活スタイルを送っている人に必要とされるのか理解することで、自社に合ったターゲット候補を導き出すことができます。

以下はターゲット属性設定の一例です。

▼ターゲット属性の設定例

・性別
・年齢
・年収
・居住形態
・配偶者
・子どもの有無
・消費支出

アパレルを例としてターゲット候補を考えると、「流行に敏感な20歳代女性」や「洋服への関心が高く定期的に購入している人」「ハイブランド志向が強く経済力がある人」などが挙げられます。

(3)ターゲットを決める

最後にターゲットを決めます。ターゲット候補が「いつ」「誰と」「何のために」行動するのかをイメージすることでターゲットをより具体的に絞り込めます。その結果、チラシの読み手は「自分ごと」として心に刺さり、訴求効果は高くなります。

以下は最終的に落とし込むターゲット設定の一例です。
▼ターゲットの設定例

<アパレル店>
0歳代女性で洋服代の支出が多い人

<ガソリンスタンド>
6歳以下の子どもがいる若年層ファミリー世帯

<家具・寝具店>
一戸建てに住む中高年世代

今回例として挙げたアパレル店は若者向けの店と設定しました。この場合、流行を取り入れた商品が多くおしゃれに敏感な20歳代女性でかつ定期的に洋服を購入していて洋服代の支出の多い人がターゲットとして最適と判断できます。

【コラム】セールチラシでのターゲット設定のコツ

ターゲットを設定する際に軸となるのは業種目的です。設定に困ったときは、業種と目的を明確にすると自ずとターゲットが見えてくるでしょう。例えば、子ども服のセールチラシの場合、業種は子ども衣類なのでターゲットは「園児・小学生」になります。一方、目的はセールなので支払い能力や購入決定権をもつ「大人(親)」をターゲットとして考えます。その結果、業種と目的双方から導き出されるターゲットは「園児・小学生の子どもを持つ親」になります。

2.セールチラシの配布計画とは?

セールチラシの効果を高めるためには、無駄を減らしてより多くのターゲットにチラシを見てもらえるような配布計画を立てることが大事になってきます。配布計画とは「どこに(配布エリア)」「いくつ(配布部数)」「いつ(配布日程)」配るかを決めることです。以下では、セールチラシにおけるポスティング配布計画の策定例と策定の6つのステップをご紹介します。

GISを使った配布計画の策定例

GISを使えば効率良くターゲットにチラシを届けることができます。GISとは「地理情報システム」の略称で、デジタル地図の画面上にさまざまなデータを重ね、分析を行うシステムです。位置に関する複数のデータを地図上に表示することで、人口分布や世帯年収など複数のデータを可視化・分析できます。
実際にGISを用いてガソリンスタンドのセールチラシにおける配布計画を立ててみました。下記はその配布計画の一例です。
▼ガソリンスタンド 3周年大感謝セールチラシの配布計画内容

■ターゲット
車所有者、ファミリー層

■地域特性・マーケットデータ
6歳未満の子どもをもつ世帯の居住率が高いエリア

■配布エリア
静岡市駿河区南八幡町(区役所)中心半径3km圏内
6歳未満の子どもをもつ世帯の居住率が高いエリア

■配布枚数
30,000枚

■配布期間
4月4日(月)~4月10日(日)
土日感謝セールの1週間前から配布

▼GISを使ったポスティング配布計画例

上図ではGISを使い、自社の商圏内のターゲットが住む比率が高い地域への配布プランを立てました。ターゲットが住む比率が低いエリアを除外することで、より効果的にターゲットに配布することができます。

配布計画策定の6つのステップ

先ほど挙げた「ガソリンスタンド3周年大感謝セールチラシの配布計画内容」は、大きく6つのステップを踏んで作成しています。以下では、それぞれのステップの考え方についてご紹介します。

(1)ターゲットを設定する
(2)地域特性とマーケットデータを把握する
(3)ターゲットに合った配布エリアを決める
(4)配布する枚数を決める
(5)配布する日程を決める
(6)実施後に配布計画を見直す

(1)ターゲットを設定する

セールチラシの配布計画を策定するときは、まずここまで説明してきた手順通りにターゲットを設定してください。どのような人に自店の情報を届けたいのか決まれば、ターゲット数が多いエリア住む比率が高いエリアなどを分析し、集中的にチラシを配布することができます。下記はセールチラシにおけるターゲットを決める要素例です。

▼セールチラシのターゲットを決める要素例

年代・・・各年代(10代、40代、60代など)
性別・・・男、女
配偶者・・・未婚男性、有配偶男性、未婚女性、有配偶女性など
世帯年収・・・300万未満、300~500万未満、500~700万未満、700万以上など
子どもの有無・・・夫婦のみの世帯、夫婦と子どもをもつ世帯など

上記のようにターゲットを決める要素は数多くあります。自店のターゲットと要素を照らし合わせながら最適なターゲットを決定しましょう。ガソリンスタンドのオープンチラシでは、子どもの習い事の送り迎えや休日のお出かけなど、車の使用頻度が高いと想定できる「6歳未満の子どもをもつ世帯」をターゲットに設定しました。

この時点でまだGISは使いませんが、GISで抽出する具体的条件を決める上で、ターゲットを「6歳未満の子どもをもつ世帯」と決めておく必要があります。

(2)地域特性とマーケットデータを把握する

次のステップでは、自店が想定する商圏の地域特性とマーケットデータを把握し、「GIS(地理情報システム)」でターゲットの分布を可視化します。地域特性とは、例えば「新興住宅地」や「商業地域」などそれぞれの地域の特徴を指し、マーケットデータとは年齢層や家族構成、世帯年収などを指します。地域特性とマーケットデータの分析では、国勢調査や家計調査などの統計調査のデータを活用し、「どのエリア」に「どのような人」が「どれくらいいる」のか可視化することができます。

▼GISで可視化する地域特性・マーケットデータの具体例

<地域特性>
・新興住宅地
・商業地域
・集合住宅街

<マーケットデータ>
・年齢層
・家族構成
・世帯年収

その上でGISに「6歳未満の子どもをもつ世帯の居住率」を数値化して、どのエリアにどのような居住者がいるのかを地図上で可視化します。

今回は、静岡市駿河区南八幡町を中心に半径3km商圏で6歳未満の子どもをもつ世帯の居住率が高いエリアを町丁目単位で色分けしました。商圏の設定は、ガソリンを入れるためだけに行動できる範囲を考え、車で10分~15分程度で来店できる3㎞圏に設定しました。注意点としてはターゲットの人数ではなく、比率で考えることです。ターゲットの人数で比較をしてしまうと、人口が多い町丁目が自然と上位にきやすくなってしまうからです。

(3)ターゲットに合った配布エリアを決める

GISでターゲットの分布を可視化したら、次はターゲットに合った配布エリアを決めましょう。手順としてはまず商圏を決めて、対象エリアを設定し、その一覧を出して配布エリアを決定します。対象エリアは(2)で示したデータを基に「商圏3kmの6歳未満の子どもをもつ世帯の居住率が高いエリア」や「商圏3kmの6歳未満の子どもをもつ世帯が多く居住しているエリア」といった形で設定しましょう。以下は配布エリアの設定例です。

▼配布エリアの設定例

まず、商圏内のターゲット比率の平均値を割り出すことで、大まかに配布の基準が生まれます。配布基準は高く設定すれば、より地域の絞り込みが強い配布となり、低く設定すればターゲットが少ない地区だけを省いた配布となります。

今回、商圏内の「6歳未満の子どもをもつ世帯の居住率」の平均値が3.66%でしたので、紫色の4%~5%未満と赤色の5%以上のエリアを配布エリアとしました。

(4)配布する枚数を決める

配布エリアが決まれば自ずと配布枚数は決まっていきます。ただ、単純に比率の高い地域だけを選んでしまうと、枚数が大きくなり予算オーバーになりかねません。ポスティングの場合、配布単価は1枚あたり3円~7円が相場になります。チラシサイズや配布地域、配布方法によって配布単価は異なりますので、予算内で収めるために何枚配布できるか逆算しておくことをおすすめします。

配布枚数は「配布予算÷配布単価」で算出できます。

今回はポスティングの配布予算を12万円に設定しました。この地域はA4サイズの配布単価が4.8円になるので、配布予算を部数に換算して25,000部と設定しています。

(5)配布する日程を決める

次に配布日程を決めます。セールチラシはターゲットにとってお得な情報が掲載されています。セール期間の1カ月前の配布では情報が劣化する、競合店に対策をされてしまう可能性があります。一方、セール期間中にもかかわらずポスティングが終わっていない状況は避けなければなりません。配布日程はポスティングの完了日を確認し、最もチラシ情報の鮮度が高いタイミングを狙いましょう。以下は配布日程の設定例です。

▼ガソリンスタンドのセール期間と配布期間

セール期間
4/11(月)~

配布期間
4/4(月)~4/10(日)

今回、ガソリンスタンドのセールチラシではセール期間の1週間前からの配布に設定しました。セールチラシは即効性が高い特徴があり、できるだけセ-ル期間に近いタイミングを選択しました。

上記のほかにも、新聞折込の「新聞折込出稿統計」などを参考にして日程を決める方法があります。特に新聞折込はチラシが多い曜日、少ない曜日が顕著に表れています。ほかのチラシに埋もれさせず、自店のチラシを目立たせたい人は「チラシが少ない曜日」を選ぶと良いでしょう。以下は「新聞折込出稿統計」による曜日ごとの構成比です。新聞折込チラシは金・土曜日に多く、日・月曜日が少ないのが分かります。

▼新聞折込の曜日別構成比
※静岡オリコミ|静岡県折込出稿統計(2021年1~6月集計)

なお、ポスティングは数日間掛けて配布することが一般的です。ポスティング会社や地域によって、配布日程が異なるので事前に確認してから設定する必要があります。

(6)実施後に配布計画を見直す

ポスティング実施後には、配布結果のデータを基に配布計画を定期的に見直すことが大切です。さらなる新規顧客の獲得のためには、別のニーズをキャッチし、新たなターゲット設定が必要になります。配布エリアは反響があったエリアと無かったエリアをしっかり分析しましょう。そのデータを今後の配布頻度やエリアの選定に役立てれば、費用対効果を上げることができます。

下記は、ガソリンスタンドのセールチラシのポスティング実施後の情報をGISに反映したものです。今回ポスティングを実施した配布エリアを赤色と紫色で塗りつぶし、来店時にチラシクーポンの利用があった箇所をピンで示しました。なお、利用者の名前や住所の情報取得は難しいので、お住いの郵便番号を記載すると使えるクーポン券付きチラシを作成するのがおすすめです。

チラシの反響率を測定する方法については、「クーポン付きチラシの反響率は高められる?|反響率を高めるポイントを解説」で詳しく解説しています

▼会員登録リストと配布エリア

【コラム】セールチラシの配布計画をツールで簡単に策定する方法
GIS(地理情報システム)は便利ですが、エリア分析に費用と時間がかかってしまいます。そこでGISを使わなくてもターゲット層に合わせた配布計画が作成できるポスティング・オリコミ・プランナー(POP)というサービスをおすすめします。POPを使えば「世帯年収(年収500~700万円未満)」「女性人口60~70歳」「夫婦と6歳未満の子供から成る世帯」などおよそ250種類の属性を選択することができ、さらにポスティングの配布計画まで一括して簡単にプランニングが可能です。

▼POPの配布プラン設定方法

(1)ターゲットの設定
(2)配布条件の設定
(3)配布地域の設定
(4)シミュレーション結果の表示と再編集

以下は実際にPOPを使って、ガソリンスタンドのセールチラシの配布計画を策定する方法です。

(1)ターゲットの設定

ターゲット属性をカテゴリから選んで設定します。今回は「夫婦と6歳未満の子供から成る世帯」を選択。属性は最大5つまで追加することができます。カテゴリは年収・住居体系、物販・消費財支出、サービス支出、性別・年齢・配偶者、子ども、職業の有無などの250種類から選ぶことができます。

(2)配布条件の設定

印刷依頼の有無、配布方法(新聞折込・ポスティング)、配布日程、チラシのサイズを設定します。印刷ありを選択した場合は、印刷色、紙質、厚さを選択します。今回は、印刷なし、ポスティング、4/4~4/10配布、A4で設定しています。

(3)配布地域の設定

配布地域を静岡県か東京都23区のどちらか選び、郵便番号検索か住所を直接入力して地域を決めます。今回は、店舗の郵便番号「422-8550」を入力しています。

(4)シミュレーション結果の表示と再編集

次の画面では、設定したシミュレーション結果(半径3kmで配布部数25,250部、合計金額136,098円)が表示されます。「もう少し広く配布したい」や「金額を抑えたい」場合は半径を広げる、または部数調整をして再シミュレーションすることができます。シミュレーション結果を検討の結果、実施する場合は「注文する」をクリックすると発注できます。

このようにPOPを使えば多くの属性の中からターゲットを絞ることができ、GISを使うよりも簡単に計画を立てられます。また印刷の依頼も可能でWeb上で24時間いつでもご発注いただけます。
*参考:ポスティング・オリコミ・プランナー|開発中画面(2022年3月14日)

3.まとめ

セールチラシを効率よくターゲットに届けるためには、自店のターゲット候補を洗い出し、最適な配布計画を立てることが重要です。また配布計画策定については、(1)~(6)のステップを参考にしていただき、より効果的な配布計画を立てセール告知につなげましょう。

なお、この記事では「セールチラシのターゲット設定」に特化したテクニックを中心に紹介しています。ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター(POPin’)では、チラシ広告初心者の方で、もっと概要寄りのデザイン作成やチラシ配布の方法について知りたい方のために、以下のような記事を用意しています。ぜひご覧ください。

▼「ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター」内の初心者向け記事

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