テイクアウトチラシのムダ配布を減らそう｜ターゲット設定と効率的な配布計画策定のやり方

チラシで効率よくテイクアウトの集客を行うには、ターゲットを絞り、適切な配布計画を立てることが重要です。とはいえ、「どうやってターゲットを絞ればいいの？」「配布計画ってどうやって作るの？」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、テイクアウトチラシに焦点を当ててターゲット設定を3つのステップで説明します。またGISを使った配布計画の立て方も6つのステップで解説していきます。さらに、配布計画ツールを使って簡単に策定する方法もご紹介します。

1．テイクアウトチラシのターゲット設定の3つのステップ

チラシ作成・配布のムダを減らすためには、ターゲットの設定が重要です。例えば、飲食店で夕飯のテイクアウトチラシを作成し、店舗中心広域に軒並み配布したとします。家族で暮らしていて夕飯は毎晩作っているお宅、高齢夫婦の2人暮らしで宅配夕飯を利用しているお宅など、夕飯のテイクアウトを必要としないお宅に配るチラシはムダになってしまいます。

以下では、テイクアウトチラシでのターゲット設定の3つのステップをご紹介します。

（1）ポスティングの目的と目標を明確にする

テイクアウトチラシのターゲット設定を行うときは、まずポスティングの目的と目標を明確にしましょう。具体的な目的と数値目標を立てることで、「誰をターゲットにするべきか」が見えてきます。下記は状況別のテイクアウトチラシの目的・目標例です。

▼目的・目標の設定例

また、このように目的と目標を明確にすることで、ターゲットだけでなくチラシの内容の方向性も定めやすくなります。

（2）ターゲット候補を洗い出す

次のステップは、ターゲット候補を洗い出すことです。例えば「昼休みにランチを買う20代女性」「仕事帰りに夕飯を買う独身男性」「帰りが遅くなった日の夕飯を買う共働き世帯」などです。同じ30代男性でも配偶者の有無、居住形態、子どもの有無などさまざまです。商材を必要とする人物像を洗い出すことによりデザイン構成や募集内容、配布地域が決まってきます。下記のターゲット属性設定例の項目ごとに具体的な要素を埋めていけば、自動的に人物像ができ上がります。

▼ターゲット属性の設定例

（3）ターゲットを決める

最後は、ターゲットを明確に決めることです。候補を洗い出した上で集客したい年代、性別、世帯年収、消費支出額に合わせてどのターゲットが最適か考え、決めましょう。以下はターゲット設定の一例です。

▼ターゲットの設定例

【コラム】テイクアウトチラシでのターゲット設定のコツ

ターゲットを設定する際に軸となるのは業種・目的です。業種例は基本的には飲食店になるとは思いますが、「ファーストフード店・カフェ・洋食店・和食処・居酒屋」などが挙げられます。

例えば、居酒屋でのテイクアウトの場合は、男性（性別）・30代（年齢）・年収300万円以上（年収）・アパート暮らし（居住形態）・独身（配偶者）（子どもの有無）・外食費（消費支出）がメインの潜在顧客になります。このように一つひとつ項目を埋めてターゲットを設定しましょう。設定に困ったときは、業種と目的を明確にすると自ずとターゲットが見えてくるでしょう。

※業種別でのターゲット設定などを知りたい方は、「塾のチラシのムダ配布を減らそう｜ターゲット設定と効率的な配布計画策定のやり方」の記事をご参照ください。

※テイクアウトのチラシのデザインのコツを知りたい方は、「テイクアウト用チラシの無料テンプレート｜集客を増やすチラシの作り方も」の記事を参照ください。

2．テイクアウトチラシの配布計画とは？

テイクアウトチラシの効果を高めるためには、無駄を減らしてより多くのターゲットにチラシを見てもらえるような配布計画を立てることが大事になってきます。配布計画とは「どこに（配布エリア）」「いくつ（配布部数）」「いつ（配布日程）」配るかを決めることです。以下では、ポスティング配布計画の策定例と策定の6つのステップをご紹介します。

GISを使った配布計画の策定例

GIS（地理情報システム）を使えば無駄を少なくしてターゲットにチラシを届けることができます。GISとは、さまざまなデータをコンピューターの地図上で扱う情報システム技術のことを言います。データを地図上に表示することで、人口分布や世帯年収など複数のデータを可視化・分析できます。

実際にGISを用いてテイクアウトチラシの配布計画を立ててみました。下記はその配布計画の一例です。

▼飲食店Aでのテイクアウトの配布計画内容

▼GISを使ったポスティング配布計画例

上図ではGISを使い、自社の商圏内のターゲットが住む比率が高い地域への配布プランを立てました。ターゲットが住む比率が低いエリアを除外することで、より効果的にターゲットに配布できます。

配布計画策定の6つのステップ

先程あげた「飲食店Aでのテイクアウトの配布計画内容」は、大きく6つのステップを踏んで作成されています。この作成事例において、それぞれのステップでの考え方をご紹介します。

（1）ターゲットを設定する

テイクアウトチラシの配布計画を策定するときは、まずここまで説明してきた手順通りにターゲットを設定してください。どのような人にテイクアウトしてほしいかを決めることで、ターゲット数が多いエリアや住む比率が高いエリアなどを明確にし、そのエリアへチラシを配布できます。下記、テイクアウトにおけるターゲットを決める要素例です。

▼テイクアウトのターゲットを決める要素例

上記のようにターゲットを決める要素は数多くあります。どのような人に需要があるかを考え決定しましょう。中でも、今回のターゲットは「仕事帰りに夕飯を買う一人暮らしの30代男性」と設定しました。一般的な複数人世帯よりも自炊頻度が低く、外食やテイクアウトの頻度が高くなる傾向にあるからです。

▼飲食店Aでのターゲット設定

（2）地域特性とマーケットデータを把握する

次のステップでは、自社が想定する商圏の地域特性とマーケットデータを把握し、「GIS（地理情報システム）」を活用してどのエリアにどのような居住者がいるのかを地図上で可視化します。地域特性とは、例えば「高級住宅街」や「単身者が多い」などそれぞれの地域の特徴を指し、マーケットデータとは年齢層や家族構成、世帯年収などを指します。さらに競合相手もリスト化しておくといいでしょう。

▼GISで可視化する地域特性・マーケットデータの具体例

今回は、ターゲットが30代男性ですので、GISでは30代男性が住む比率が高いエリアを色分けして地図上で可視化します。以下は、実際に可視化したGIS画面です。

静岡駅を中心に半径2km商圏で30代男性が住む比率が高いエリアを町丁目単位で色分けしました。商圏については徒歩・車移動を含め商圏2kmが多いためこのように設定しました。注意点としては「30代男性が住む人口数」で抽出しないことです。比率ではなく人口数で抽出すると単純に人口が多い町丁目が上位に挙がってきやすくなってしまうからです。

▼飲食店AでのGIS抽出項目

ここでは静岡市のHPを参照し、30代男性の人口比（30代男性人口数/総人口数）を出してGISにて表示させました。

（3）ターゲットに合った配布エリアを決める

GISでターゲットの分布を可視化したら、次はターゲットに合った配布エリアを決めましょう。手順としてはまず商圏を決めて、対象エリアを設定し、その一覧を出して配布エリアを決定します。対象エリアは（2）で示したデータを基に「商圏2kmで30代男性の住む比率が高いエリア」や「商圏3kmで世帯人員数1人が多いエリア」といった形で効率的で効果が期待できるエリアを設定しましょう。下記は、飲食店Aにおける配布エリア設定例です。

▼飲食店Aにおける配布エリア設定例

対象エリアを設定し抽出したら丁目ごとの構成比・配布部数表に落とし込み、配布部数を確認すると共に丁目単位でエリアを決定します。以下は静岡市の丁目ごとの世帯数別構成比データとポスティングの配布部数表とを合わせた表でのエリア設定例です。

▼エリアの設定例

半径2km圏内で30代男性の住む比率が高い町名を優先して配布する町丁目を具体的に決めていきます。青は12.75％～17％、赤は17％以上となります。

▼飲食店Aにおける配布エリア

今回は上記のエリアを選びました。パーセンテージが高いエリアのほうが、無駄が少なくターゲットの手元に届く率が高まるからです。

（4）配布する枚数を決める

チラシの配布エリアを設定すると同時に、予算に応じて配布枚数を決めます。配布枚数は、配布予算を配布単価で割ると算出できます。（配布枚数＝配布予算÷配布単価）。ポスティングの配布単価は一般的には一枚あたり3円～7円で、配布単価はチラシサイズ、配布地域、配布方法によって異なります。

配布部数は（3）の丁目ごとの構成比・配布部数表に落とし込み算出しています。

▼飲食店Aでのチラシ配布部数

（5）配布する日程を決める

チラシの内容に合わせて配布する日程を決めましょう。狙い目は、見込み客の潜在的なニーズが高まっているタイミングです。下記は見込み客の潜在的なニーズが高まるタイミングの一例です。

▼見込み客の潜在的なニーズが高まるタイミング

今回は、年末に向け残業が増え、夕飯のテイクアウトの需要が高まることが期待できることから、12/13（月）～12/18（土）に設定しています。

▼GISを使った配布計画例

その他の日程の決め方としては、新聞折込の「業種別折込曜日資料」などを参考にするのが良いでしょう。ただし、ポスティングは、配布日をピンポイントに決める新聞折込と違って配布日が数日間で設定されます。ポスティング会社によって、配布日程が異なるので事前に確認してから設定する必要があります。以下は「新聞折込出稿統計」によるテイクアウトチラシ（一部）が入りやすい曜日になります。

▼新聞折込の業種別折込曜日比率

※静岡オリコミ｜静岡県折込出稿統計（2021年1～6月集計）

（6）実施後に配布計画を見直す

ポスティング実施後には、配布結果のデータを基にターゲット層や自社の商圏などの配布計画を見直すことが大切です。見直しにより、ニーズのある顧客を新たに見つける、配布精度を高めることが可能となります。商圏設定方法は、顧客リストと配布エリア、反響があったエリアを照らし合わせたデータをもとに、1次商圏・2次商圏に分けて設定することです。

反響が多かった丁目や商圏を見直し、新たな顧客獲得につなげていきましょう。チラシにアンケートやQRコードを付けておくと、顧客情報を収集できリストの作成が可能です。下記は、飲食店Aにてポスティング実施後の情報をGISに反映したものです。今回ポスティングを実施した配布エリアを赤と青で塗りつぶし、集客に成功した顧客をピンで示しました。

▼顧客リストと配布エリア

【コラム】テイクアウトチラシの配布計画をツールで簡単に策定する方法

GIS（地理情報システム）は便利ですが、エリア分析に費用と時間がかかってしまいます。そこで、GISを使わなくてもターゲット層に合わせた配布エリア設定をWEB上で作成できるポスティング・オリコミ・プランナー（POP）というサービスがおすすめです。POPを使えば「サービス支出（一般外食）」「女性人口20～30歳」などおよそ250種類の属性を選択することができ、さらにポスティングの配布計画まで一括して簡単にプランニングが可能です。以下はPOPの利用方法です。

▼POPの配布プラン設定方法
POPの配布プランは以下4つのステップで簡単に設定することができます。

（1）ターゲットの設定

ターゲット属性をカテゴリから選んで設定します。今回は「男性人口30～40歳」を選択。属性は最大5つまで追加することができます。カテゴリは年収・住居体系、物販・消費財支出、サービス支出、性別・年齢・配偶者、子ども、職業の有無などの250種類から選ぶことができます。

（2）配布条件の設定

印刷依頼の有無、配布方法（新聞折込・ポスティング）、配布日程、チラシのサイズを設定します。印刷ありを選択した場合は、印刷色、紙質、厚さを選びます。今回は、印刷なし、ポスティング、12/13～12/19配布、A4で設定しています。

（3）配布地域の設定

配布地域を静岡県か東京都23区のどちらか選び、郵便番号検索か住所を直接入力して地域を決めます。今回は、地域を静岡に、郵便番号を〒420-0851で設定しています。 

（4）シミュレーション結果の表示と再編集

次の画面では、設定したシミュレーション結果（半径2kmで配布部数13,550部、合計金額73,035円）が表示されます。前項で入力した内容を確認し、配布地域を範囲指定の半径（0.5～4.5km）もしくは丁目指定で設定すると再シミュレーションが可能です。シミュレーション結果を検討の結果、実施する場合は「注文する」をクリックすると発注できます。

このようにPOPを使えば多くの属性の中からターゲットを絞ることができ、GISを使うよりも簡単に計画を立てられます。また印刷の依頼も可能でWeb上で24時間いつでもご発注いただけます。
＊参考：ポスティング・オリコミ・プランナー｜開発中画面（2021年11月25日）

3．まとめ

テイクアウトチラシのターゲット設定は効率よく集客する配布計画を立てるために重要です。目的と目標を明確にし、候補を洗い出して最適なターゲットを選びましょう。また配布計画策定については、（1）～（6）のステップを参考にしていただき、より効果的な配布計画を立てテイクアウトの集客につなげてください。

なお、この記事では「テイクアウトチラシのターゲット設定」に特化したテクニックを中心に紹介しています。ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター（POPin’）では、チラシ広告初心者の方で、もっと概要寄りのデザイン作成やチラシ配布の方法について知りたい方のために、以下のような記事を用意しています。ぜひご覧ください。

▼「ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター」内の初心者向け記事