エリアマーケティングとは?|無料で使えるマーケティングツール4選

エリアマーケティングは店舗の売上を伸ばすために、重要なマーケティング手法です。ただ「エリアマーケティングとは何?」「どのようにすすめるの?」といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?

この記事では、エリアマーケティングの概要からメリット、エリアマーケティングに役立つツールについても紹介します。また、エリアマーケティングで導き出した分析で販促の効果を高めるポイントについても解説します。

1. エリアマーケティングとは?

新規出店や既存店舗における販売戦略の見直しを検討する場面でよく活用されているエリアマーケティング。まずは、エリアマーケティングの概要や注目される理由をご紹介します。

地域の特徴を考慮したマーケティング手法

エリアマーケティングとは、ビジネスを展開したい地域の特徴を理解し、その地域に合わせたアプローチ戦略を立て実践するマーケティング手法です。地域の特徴とは、その地域の文化、産業、人口、インフラ、ライバル会社といった地域間で異なる特性のことです。地域ごとに異なる特徴を理解し、その地域に合わせた販売戦略を実施することで、自社のビジネスを優位に展開させます。

エリアマーケティングが注目される理由

エリアマーケティングは、地域ごとのニーズを把握でき、自社ビジネスを効率的にすすめるための手法として最近注目されています。例えば、その地域に求められているトレンドを知ることで、地域ごとに商品を変えたりサービス内容を変更したりすることができ、結果的に効率のよい経営の実現につながります。特に、大都市と地方都市では違いが大きく、当然ながらニーズにも違いが出てくるはずです。各地域における生活者のニーズの違いを把握し、無駄がない施策が実施できれば、販促にかかるコストを下げることも期待できます。

2. エリアマーケティングに不可欠な商圏分析の3つのポイント

エリアマーケティングをすすめる上で、自社がビジネスしたいと考えているエリアに、どのような生活者がいるのかを知る「商圏分析」が不可欠となります。こちらでは商圏分析を行う際の3つのポイントを紹介します。

▼商圏分析のポイント

(1)マクロ環境の分析をする
(2)地域の特徴を調べる
(3)ライバルを調べる

(1)マクロ環境の分析をする

エリアマーケティングでは、自社ビジネスを安定した良い成果に導くため、中長期的な視点が不可欠で、それを実現するためには商圏におけるマクロ環境分析とミクロ環境分析が必要です。自社のビジネスエリア周辺の需要や顧客の動向を指すミクロ環境に対して、マクロ環境とは、経済、政治、社会、技術環境のことをさします。例えば、マクロ環境といえる過疎化や都市計画による人口の増減、技術革新による市場規模の拡大・縮小があれば、ミクロ環境にも影響を及ぼし、経営計画も変わるはずです。このことから商圏分析は、マクロとミクロの2つの視点で調べる必要があります。

マクロ環境の分析手法
マクロ環境の情報を集めて分析するには時間がかかるため、精度の高い情報をいかに短時間で集め分析するかがポイントとなります。

マクロ環境を効率的に分析する手法として「PEST分析」があります。PEST分析とは4つの外部環境要素の頭文字を取って名付けられた分析手法です。P=Politics(政治)、E=Economy(経済)、S=Society(社会やライフスタイル)、T=Technology(技術)という4つの要素のマクロ環境を分割し、自社が受ける影響を分析していきます。

下記は、自動車業界のマクロ環境について、PEST分析を用いて分析した一例です。

▼自動車業界のPEST分析例

政治2030年代にガソリン車が廃止される方針
経済自動車市場は縮小傾向、スモールカーの需要増
社会車離れが進行。シェアする傾向
技術電気自動車、自動運転技術の開発が進行

この分析結果から、自動運転機能の電気自動車にシフトする流れや自動車離れにより新しい移動手段が必要なことが見えてきます。そこから「電気自動車を使った新たな移動サービスビジネスに力を入れよう」などと戦略を立てることできます。

マクロ環境を把握するために、総務省統計局の統計データ分野別一覧ページの統計結果を閲覧することがおすすめです。以下はデータ例の一例です。

▼マクロ環境を把握する上で役立つ統計・推計データ例

・国勢調査
・経済センサス
・人口推計
・労働力調査
・家計調査
・消費者物価指数

*参考:総務省統計局|分野別統計データ

(2)地域の特徴を調べる

商圏分析を実施するときは、想定エリアにおける住民の生活様式や地域特有の文化を把握することが重要です。そうすることで、エリアマーケティング実施時に具体的な販売戦略を描きやすくなります。地域の特徴を調べるには、アンケートを実施して街の特徴や動向をつかんだり、実際に買い物をしている人に面接調査したりする方法が一般的です。また、費用をかけなくともインターネット検索すればある程度調べることができます。

下記は地域の特徴を理解するために、調べておくとよいデータの一例です。

▼地域の特徴を把握する為に役立つデータ例

・人口動態や商業人口
・立地や地形
・文化や歴史
・県民性

例えば、その地域の年代を把握することで、学生が多い地域では若者向けの商品需要があり、その親世代も同様に多くなるためターゲットとなります。さらに、余暇の過ごし方や通販の利用頻度などの消費行動特性を知ることができれば、有効な商品やサービスの販売方法をつかめる可能性があります。

また、想定エリアの地理的情報も考慮する必要があります。例えば、基本となる移動手段が車である場合、河川や幹線道路などの導線を調査して把握すれば商圏範囲が広がることも想定できます。

(3)ライバルを調べる

エリアマーケティングによりライバルよりも優位に立つためには、商圏分析において想定エリア内にある競合店舗を調査し、そのエリアの有益なニーズをつかむことが重要です。競合調査では、競合店舗数、売り場規模や立地、営業時間、サービス内容、取扱商品、販促方法などの情報を集めます。集めた情報を精査し、地域の住民が競合店舗で買い物する理由や、かなえられていない潜在的なニーズを想定しましょう。分析結果を自社の販売計画や施策に生かすことで、競合と差別化でき、自社の強みとなります。

3. エリアマーケティングのお助けツール

複雑なエリアマーケティングをより簡略化して実施するために、無料で使えるエリアマーケティングツールを利用しましょう。ここでは、ツールを4つ挙げ、それぞれの特徴や活用シーンを紹介します。

jSTAT MAP(ジェースタット マップ)

地図で見る統計jSTAT MAPは総務省統計局が提供する誰でも使えるWebサイトの地理情報システムです。地図を作成するほかに、利用者のニーズに沿った地域分析が可能となるさまざまな機能を利用できます。jSTAT MAPはe-Statの機能の一部で、独立行政法人統計センターが運用管理を行っています。

例えば、jSTAT MAPを使って自店の周辺地域の大まかな人口動態情報を調べたり、統計グラフの作成で、自店がターゲットとする世代がどのエリアに多いのか地図で表したりすることができます。

▼jSTAT MAPの表示例

提供先総務省 統計局
特 徴国の統計データを地図上に表示できる。ログインして使用すると取り込んだデータの保存やリッチレポート(地域分析レポート)が利用できます。
注意事項データ量が多いため必要なデータを見つけにくい。

*参考:総務省|地図で見る統計jSTAT MAP

e-Stat(イースタット)

政府統計の総合窓口e-Statは、政府統計のポータルサイトです。国勢調査データや各種統計データなど広範囲の分野を網羅しています。総務省統計局が整備し、独立行政法人統計センターが運用管理を行っています。

例えば、e-Statを利用して、その地域の人口増減率や転入超過率を調べ、活性化しそうな地域であるのかを把握することもできます。

提供先総務省 統計局
特 徴統計データを人口や労働などの分野や、総務省や経済産業書などの各組織の分類で閲覧できるポータルサイトです。広範囲のデータが閲覧できます。
注意事項データ量が多いため必要なデータを見つけにくい。

*参考:総務省|政府統計の総合窓口e-Stat

ロケスマ

ロケスマは、デジタルメディアの企画・運営など、独自技術でユニークな付加価値を提供する株式会社デジタルアドバンテージ社が提供する、飲食店や銀行などのお店や公共機関の位置を地図で表示するナビアプリです。毎日最新データが更新されているので情報鮮度が高く、土地勘が無くてもその地域の競合店舗を把握できます。また、検索結果が地図上にロゴマークでピン留めされるので位置関係がわかりやすく、さらに、そのピンをタップすると営業時間や休店日、駐車場台数や店舗URLまで確認でき、競合店を効率的に調べることができます。

提供先株式会社デジタルアドバンテージ
特 徴飲食店や小売店の店舗立地に特化した地図データアプリ。周辺の競合店舗を把握できます。WEB版の他インストールすればスマートフォンでも閲覧可能。

*出典:株式会社デジタルアドバンテージ|ロケスマ

RESAS(リーサス)

地域経済分析システム(RESAS:リーサス)は、内閣府と経済産業省が提供している地域経済にかかわるさまざまなビッグデータを地図やグラフで可視化できるサイトです。細かな地域指定はできませんが、市区町村単位の全体像を把握することができます。

例えば、RESASを使えば、地域のスーパーやドラッグストアのレジのPOSデータを基に、飲食料品や日用品などの購入金額や購入点数などの消費動向を把握することができます。

提供先内閣府 地方創生推進室 ビッグデータチーム                        経済産業省 地域経済産業調査室
特 徴いつでも閲覧可能。地図やグラフで産業や人口動態を市区町村単位レベルで表示できます。簡単に各種データの全体像を把握できます。
注意事項細かな地域の詳細データを取得することは不向き。

*参考:内閣府・経済産業省|地域経済分析システムRESAS

3. エリアマーケティングで広告を最適化する4ステップ

自社ビジネスを成功させるためには、エリアマーケティングの分析をもとにして最適な販促施策を行うことです。実施した施策の効果検証と修正を繰り返し、販売施策を最適化していきます。

▼エリアマーケティングで広告を最適化する4ステップ

(1)エリア候補をリストアップする
(2)データを集める
(3)データを分析する
(4)分析にあった広告媒体を選択する

ここでは、生徒数を増やしたい学習塾Aにおけるエリアマーケディングを4つのステップに分けて紹介します。

▼学習塾Aの基本情報

・所在地:静岡市駿河区中島
・生徒募集ターゲット:小学生

(1)エリア候補をリストアップする

まずはエリア候補をリストアップします。新規の出店であれば候補地周辺を、既存ビジネスでは実店舗から半径〇〇km圏内や、新しく開拓したい希望エリアなど、おおよその範囲をピックアップします。

小学生を募集したい学習塾Aは、小学生が通える範囲が前提となりますので、塾があるとして想定します。

▼学習塾Aを中心として2km圏内の範囲を示した地図

(2)データを集める

調べたいエリア候補が決まったら、そのエリアの商圏分析をするためにデータを集めます。一般的には、人口動態といった自社ビジネスに影響するマクロ環境データと住民のライフスタイルやライバル店といったミクロ環境データを収集します。

マクロ環境の収集方法としては、前述したとおり政府統計の総合窓口e-Stat内にあるさまざまな統計データを調べることで、その地域の人の流れや経済基盤などの都市概要を知ることができます。また、ミクロ環境においてはライバル店の位置関係や事業内容をWebで検索すると多くの情報を収集できます。さらに、競合店の販促物を、知人にライバル店の印象をヒアリングしたりすることも有益でしょう。ただし、その地域に住まわれていない場合、地域の特徴を掴むことは難しいはずです。その場合は、リサーチ会社に依頼することも検討しましょう。

下記は、学習塾Aのケースで集めた情報です。

▼学習塾Aにおけるマクロ環境とミクロ環境

マクロ環境・静岡市の人口、年代
・静岡市の地形
・静岡県の消費支出
ミクロ環境・小学生年代の人口分布
・徒歩通塾範囲
・ライバル塾の位置や授業料、指導要領

下記は学習塾Aを拠点とした徒歩15分圏と小学生年代の分布です。

▼jSTAT MAP:自店から徒歩15分の範囲と小学生年代の分布

▼ロケスマ:ライバル塾との位置関係

(3)データを分析する

収集したデータを持ち寄り、そのエリアで自社の顧客になると思われるターゲット像を導き出し、ターゲットが多いエリアを仮定します。

そのエリアで新たにビジネスを始めるケースであれば、立地や顧客属性、競合他社、需要、売上予測など分析する項目は多くなります。一方で既存店舗のビジネスであれば、施策方法や訴求したいエリア、ターゲット属性の見直しなど知りたい目的に合わせた分析ができれば十分です。それらを基に効率よく顧客を獲得するためのストーリーの仮説を立て、競争相手に勝てるのか自体を判断する必要があります。

以下は、新規出店する際に調べる、その地域の需要や売上の予測を分析する手法の一例です。注意点としては、予測する目的はあくまで「その地域でどの程度の売上になるか」の目安を知るためと理解しておくことです。なぜなら、予測数値は、過去のデータや仮定の要素を組み合わせた不確定な数値だからです。評価の取り扱いは参考程度の情報にとどめておきましょう。

▼需要や売上予測分析に有効な手法一例

・回転率法
・キャッチ率法
・類似店分析
・ハフモデル
・重回帰分析

学習塾Aのケースとして生徒募集のために導いたエリア分析結果は、ターゲットとなる小学生年代が徒歩での通塾15分圏内にある教室南部に多く分布。またそのエリアは比較的ライバル塾が少なく、指導内容や授業料にも大きな差は見受けられない。ライバル店としての差があるとすれば、知名度で劣ると仮定しました。

以下は、抽出した反響が見込める仮説エリア(黒枠)です。

▼学習塾Aが分析した施策対象エリア

なお、さらに精度の高い分析結果を追求し施策に反映したいのであれば、プロの手助けや有料の分析ツールを使用することも良い方法です。

(4)分析にあった広告媒体を選択する

自社ビジネスのターゲット層に最適な広告媒体でアピールできれば、費用対効果が高まります。広告媒体によって、得意とする年代や伝わり方などのさまざまな特性があり、ターゲットに響きやすい媒体選びが重要となります。さらに、ターゲット層が多くいるエリアを絞り込み有益な情報でアピールすることで広告効果が高まります。

今回、学習塾Aの販売施策として「ポスティングでのチラシ配布」を選択しました。選択理由としては、何度も読み返せて保存性の高いチラシ、即効性を求めたい、訴求したいエリアが絞り込めている、といった要素を持ち合わせているため。さらに、小学生の親世代30~40歳代に届きやすいチラシ配布のポスティングであることです。

【コラム】エリアマーケティングと広告媒体ツール

エリアマーケティングで調べたエリアやターゲットに対し、目的を明確にした販促物を的確に届けるためには、広告媒体ツールに対しての理解が必要です。チラシ配布のほかにもエリアを限定できる広告媒体があります。下記は、その広告媒体の一例です。

▼エリア限定できる広告媒体

オフライン施策の主な広告媒体特徴・セグメント方法
交通広告

(ラッピングバスなど)

運行する路線エリアを選択できる。               反復接触して人の印象に残りやすい。
ダイレクトメール宛名や住所録があればエリアを絞り込みできる。            購入見込みの高い顧客を選んで送れる。
看板希望する設置個所をある程度決められる。                       不特定多数の人に接触し知名度があげられる。
オンライン施策の主なWEB広告特徴・セグメント方法
リスティング、バナー広告などIPアドレスなどでセグメントできる。検索ワードの絞り込みで見込み客の目に触れやすい。
SNS居住地や趣味嗜好に合わせて絞り込める。投稿の中に広告を溶け込ませられ抵抗感が少ない。
ジオターゲティング広告行動の履歴などの位置情報データで店舗からの半径圏内から広告配信できる。

※オフラインとオンラインの施策方法は「Web広告とチラシ広告を併用するクロスマーケティング 成功例や向いている業種も解説」で詳しく解説しています。

中でも、チラシを配布する折込チラシやポスティングは、自社の特徴や目的をまとめたチラシを、希望する範囲とスケジュールで、効率的に届けられるため、エリアマーケティングとの相性がぴったりです。

一方で、エリアマーケティングのために情報を集め関係性を分析し、そこからチラシ配布に反映させるには時間と費用が掛かります。そこで、ターゲット層に合わせた配布エリア設定がWeb上で簡単にプランニングできるツールの活用がおすすめです。当社が提供しているポスティング・オリコミ・プランナー(POP)を使えば「年齢層」「性別」「世帯年収」など、およそ250種類の属性を選択することができ、さらに折込チラシやポスティングの配布計画まで一括してプランニングできます。POPの配布プランは以下4つのステップで簡単に設定することができます。

▼POPを使った配布計画方法

1.ターゲットの設定
2.配布条件の設定
3.配布地域の設定
4.シミュレーション結果の表示と編集

▼POPプラニング例

学習塾の生徒募集を狙うポスティングで静岡市駿河区中島を中心2㎞商圏で設定した場合、「教育支出」で属性を設定すると配布部数は12,350部になります。カテゴリは最大5つまで、配布地域は0.5~4.5㎞まで選択が可能です。(2022年5月20日)

*参考:ポスティング・オリコミ・プランナー|配布計画

※ポスティング・オリコミ・プランナー(POP)の使用方法は「減らそうムダ配布。ポスティング・オリコミ・プランナー(POP)でターゲットチラシ広告を簡単Web発注」で詳しく解説しています。

5.まとめ

自社ビジネスの成功には、エリアマーケティングで集めた情報を分析して、販売施策を計画→実行→検証→改善というPDCAを繰り返すことがカギとなります。また、最新の情報を常にとり、変化する時代に合わせて情報更新していくことも必要となります。エリアマーケティングを有効に使い、自社ビジネスの発展を目指しましょう。

なお、この記事では「エリアマーケティング」に特化した情報を中心に紹介しています。販売促進にチラシを活用したい広告初心者の方で、もっと概要寄りのデザイン作成やチラシ配布の方法について知りたい方のために、以下のような記事を用意しています。ぜひご覧ください。

▼「ポスティング・オリコミ・プランニング・インストラクター」内の初心者向け記事

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